慈恩弘国営業日報0080917
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 17日 晴れ


ここは、
中央アジアの西の果て、
カスピ海を渡ってしばらくいったとこらへんの

マ・クベの鉱山基地。



ちーん。

「いい音色だろ?」

「はい。良い物なのでありますか?」

「北宋だな・・・・。」

「は、ランバ・ラル大尉にはおおせの通り伝えておきました。」

「そうか。」


「マ・クベ大佐」

「なんだ?」

「諜報員から新たな情報が入りました。
 木馬と思われる船が方向を変えました。」

「好都合だな。私の鉱山から離れてくれる。」
「待てよ。ウラガン、ランバ・ラルに教えてやれ。
 奴が木馬を早く始末してくれれば、
 この辺りをうろうろされることもなくなる。
 とにかく私が発掘した鉱山の実態を
 ドズル中将に知られるのはまずい。」

「はっ。」

「フフフ・・・ハハハハハ
 ハーハハハハハハハハ。」

「マ・クベ大佐?」

「なんだウラガン。まだいたのか!」

「は、ちょっとその壷、いいですか?」

「こら、きたない手で触るな。やめろ。
 あっ、落とすなよ。」

「うーん。」

「なんだウラガン、
 お前にこの壷の価値がわかるのか?」

「これはたしかにいいものですが、
 北宋じゃありませんねぇ。」

「なんだと?
 どこを見て言ってるんだ。」

「ここですよ、ここ。
 雲堂手っていうんですがね、
 人物や楼閣が描かれてる背景に、
 ほら、渦巻き状の雲が描かれてるでしょ。
 一見、元様式のようにも見えますが、
 まあ、十中八九、明代のものでしょう。
 ましてや北宋なんてとんでもないですね。」

「無粋な、お、おまえに、なにがわかるのかっ!
 えらそうに。
 生兵法は出世に影響するぞ。」

「でも大佐、いいものですよ。
 一応、景徳鎮ですからね。」

「そ、そうだ。景徳鎮だ。
 景徳鎮だとも。
 どうだ、いいだろう。うらやましいかっ。」

「まあねぇ。
 でも景徳鎮とはいっても、
 これは民窯のものですな。
 大佐もご存知のとおり、
 景徳鎮には、官窯と民窯がございます。
 民窯は官窯にくらべ、
 技術的にかなり劣ってますからねぇ。」

「なんだと!そんなのわかるもんか。」

ちーん!ちーん!ちーん!ちーん!ちーん!ちーん!

「いい音だ、いい音。いい出来だ。」

「ほら大佐、このへんの模様。
 全体の形。
 どう見たってイスラム好みですよ。
 この壷は、中国の明の時代に、
 イスラムの人たちに買ってもらうために作られた輸出品。
 ま、日用雑器ですな。」

「ううううううううう。
 くそう。これならどうだ。」


ばさあっ。


「応挙ですか。」

「さすがウラガン君。お目が高い。」

「恐ろしいニセモノですな。」

「なにぃーー!」

「ほら、よく見てください。
 網点が見える。しかも版ズレ。
 印刷ですよ。
 いわゆるポスターですな。
 こんなもの、いくらで買わされたんです?」

「き、貴様ー!
 なら、こ、これでどうだー!」


ばさあっ!


「何ですか?これは。」

「ふふ、ウラガン君。
 さんざん偉そうに講釈してたくせに、
 若冲も知らんのかね。
 伊藤若冲。
 みろ、今にも動き出しそうな躍動感のあるニワトリじゃないか。
 若冲はな。
 それまでの日本画になかった
 革新的な技法をつぎつぎあみだしていったのだよ。」

「大佐。
 若冲がいくら進歩的な「奇想の画家」だったとしても、、
 わたしの知っているかぎり、
 油絵にまでは手をだしておりませんなぁ。」

「きょえーーー!こいつー!
 どこまでわたしを愚弄する気かっ!
 ちょっとこっちへ来い!」

かつかつかつかつかつかつかつかつ。

ぴっ。
ぽちっ。


ごごごごごごごごごごごごごごご。


「おお~。」

「どうだウラガン君。
 恐れ入ったか。
 この骨董の数々を売りさばけば、
 ジオンはあと10年は戦える。」

「大佐。
 ドズル閣下の目を盗んで何をやっているかと思えば、
 こんな古いものを・・・・・。
 そうか、酸素欠乏症にかかって・・・・・。」

「はーはははははははは。
 連邦軍ばんざーい!
 連邦軍ばんざーい!

 連邦軍、ばんざーい!」


つるっ。

「あぁーーーーー!」

がんっ!ごんっ!ばんっ!ごんっ!
どさっ。



「ギャンふん。」


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本日のクルー
店長:ランバラル大尉
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お好み焼き「慈恩弘国」
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2008/09/18 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(12) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080913
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 13日 晴れ


今日も、全国ジオン国民期待の新人、
フラウボウ5号の勤務となった。

昨日の営業でも、
今や名物となりつつある、
見事なウーロン茶こぼしを披露し、
みんなの期待に応えてくれた。

終わってみれば、
なんとウーロン茶がワンケース、
24本が空になっていた。

我が国に一晩で訪れてくれる同胞は、
せいぜい、2、30人である。
そのほとんどが、
フラウボウ5号のウーロン茶こぼし見たさに、
オーダーしたようだ。


それでも、
昨日の営業終盤になってフラウボウ5号は、

あらかじめウーロン茶のボトルの栓を開けて
お運びするのではなく、

お客様のところへ持っていってから、
詮を開ければいいという事実に気が付き、
同時に9本オーダーされたお客様のところへも、
無事お運びすることができた。


またひとつ賢くなってしまった5号に、
わたしは一抹の寂しさを覚えた。


今日は、
開店してしばらくは、
お客様がいらっしゃらず、
フラウボウたちはおしゃべりにふけり、
わたしはギターを弾いて
でたらめな歌を歌っていたものの、

7時ごろになると、
店は満席になった。


午後8時すぎ、
店の忙しさがピークにさしかかった時、
わたしの左後方で、


ぼかーーん。


という爆発音がした。

私が、
「敵襲!」と叫んで振り返ってみると、


5号がマスタードの大瓶を割っていた。


すぐに手を出そうとする5号を、
3号が静止した。

「この国の憲法。
 ガラスを割った人は自分でかたづけない。
 ガラスを割った人は動揺してるからね。
 怪我するといけないから。」

いつもおちゃらけている、
3号らしからぬお姉さんのような発言。

この瞬間3号は、きっと自分が大好きになっていたはずだ。
3号はすぐに手際よく、
割れたマスタードの瓶をかたづけた。

こういう自信満々な時の3号は、
必要以上にちゃんとした自分を発揮する。

「大尉。イセリナ・シャウエッセン・バッハのマスタードは
 どうしましょう?」

そう聴いてきた3号にわたしは、

「要らぬ。
 お客さんはウィンナーが食べたいのだ。
 マスタードはわたしが勝手にサービスで付けているだけだ。
 サービス終了。」

それぞれのクルーが自分の仕事を再開した。

わたしは、この件はこれで解決したと思っていた。


しばらくして5号が目に入った時、
なにやらしょんぼりしてたこ焼きを焼いている。

「5号。どうしたのだ。しんどいのか?」

「はぁ、胸が痛くて。」

「胸が痛い?調子が悪いのか?」

「さっき割ったマーマレードの瓶の事が・・・」

「気にするな。俺も割った。
 みんなコップやらなにやら壊しているんだ。
 狭いし、忙しいし、仕方が無い。
 くよくよするな。
 で、マーマレードって何だ?」

「マーマレードじゃないですね。
 何でしたっけ?
 あれ?どうしてもマーマレードが出てくる。
 マ、マ、マド、マードマート?」

「はっはっは。
 お前が割ったのは、
 マドモアゼルだ。」

「あ、そうでした。
 マドモアゼルの瓶を割ってしまって、
 胸が痛いです。」

「もう忘れろ。
 どうしようもない事を考えても
 どうしようもないだろう。
 目の前の仕事に集中するのだ。
 マドモアゼルの事は、もうおしまい。」

「はい。」

そう返事をしたものの、
5号の顔はどこか沈んだままであった。


閉店後、
5号の焼いたたこ焼きをみんなでつまみながら
談笑をしていると、
なんとなく沈んでいる5号に3号が気が付いた。

「どうしたん?
 マスタードの瓶の事、気にしてんの?」

「あ!マスタードだ。
 マスタードでした。
 マスタードがどうしても思い出せなくて、
 すぐマーマレードが出てきちゃって。
 そうです。
 マスタード割っちゃって、
 胸が痛いんです。

 大尉。マドモアゼルって何?」





「ちっ3号め。余計な事を。」





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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ3号、フラウボウ5号、マチルダさん
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2008/09/15 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(15) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国業務日報0080912
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 12日 晴れ


今日は新人フラウボウ、5号の、
2回目の勤務となった。

我が国を訪れてくれる同胞のみなさんは、
わたしの営業日報をご覧の方が多く、

フラウボウ5号が、
初勤務で、お客様にウーロン茶を豪快にこぼした事件は、
今や日本中のジオンゆかりの人々間では、
周知の事実となっていた。

この日のお客様の多くも、
フラウボウ5号の萌える粗相に期待していたようで、
やたらウーロン茶の注文が出た。


フラウボウ5号は、
そんなお客様の期待に応え、

今日も見事にこぼして、
お客様のズボンをずぶ濡れにしてしまった。

慌てる5号をよそに、
店に暖かい歓声が沸き起こる。


頭にネズミの耳をつけた、
連邦軍の制服を着た娘が、
お客様にウーロン茶をこぼして、
拍手が沸き起こる店。


わたしはそんな店を
他に知らない。


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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ4号、フラウボウ5号、マチルダさん
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お好み焼き「慈恩弘国」
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2008/09/13 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(30) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080909
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 9日 晴れ


今日は、わたしにとって特別なゲスト、
ララァさまによる貸切営業の日である。

ララァさまは、美しく、かわいらしく、セクシーでおしゃれ。
背が高くて上品で、礼節をわきまえ、清楚で可憐。
そして、若干恐ろしい。

動物で例えるなら、輝く毛並みの、美しいヒョウ。
アニメのキャラクターに例えるなら、
クイーンエメラルダスのような女性だ。

彼女から予約の電話が入ったのは、
先週のことだった。

「会社の人、8人で行きたいので、
 ご予約お願いできますか?」

か細く、美しい声、丁寧な言葉づかいである。

そして、ラビアンロースステーキと、
ザクレロのタンをご予約された。

「ラビアンロースステーキは、だいたい5000円前後、
 ザクレロのタンは2000円前後します。
 少々値がはりますが、大丈夫ですか?」

と確認すると、


「大丈夫。課長さんが払うから。」


それぞれ3つご注文された。



午後6時30分。
ララァさまご一行が揃われた。

その中には、
前回このメンバーでご来店いただいた際に、
ララァさまの悪口の書かれた、
マイ・デスノートの存在がばれ、

ララァさまに、
店の外の国道まで追い掛け回されて
グーで殴る、ヒールで蹴るの暴行を受けた、

Y氏もいた。

前回の貸切営業から数ヶ月。
元気な氏の姿が見れて、
わたしはほっとした。


ララァさまは、
いつも手土産も持ってきてくれる。
この日もかわいくて美味しい、
TAWAWAの、ふわふわロールケーキと、
ソーラレイです。と言って、
おたべの、抹茶バームクーヘンをくれた。

思えば、最初にシンデレララァプリンを持ってきて以来、
エルメスのビット。といって、
紫芋のケーキをもってきたり、
ビット放出といって、
小さいシュークリームを山ほど持ってきたり、

毎回趣向が凝っている。


わたしも、うかうかしていられない。
負けないように、
新しいメニューを考えねばなりますまい。


みなさんにビールがいきわたり、
課長さんの命令で、新人の方によって、
無理やり乾杯の発声がされたあと、

わたしは、ザクレロのタンを焼いた。
次に、ビグザムのもも肉のガーリックソテー。

ザク焼き、ドム焼き、ゲルググ焼き。

みなさん、喜んで食べてくれた。


そして、ラビアンロースステーキ。
これを焼く時は、わたしにも覚悟がいる。

これからはじまる神聖な作業のために、
鉄板を一度まっさらに磨き上げる。

バーナーの炎を調節し、
油が焦げ付かず、揮発しないぎりぎりの熱さを追及する。

やがて、鉄板がわたしに、その時を告げた。
今度は、すぐに炎を極限まで小さくする。


仰々しい竹の皮に包まれた、
いかにも高そうな肉の塊が鉄板の上に置かれると、

周囲から感嘆の声が漏れる。


「これは、お高い肉だ。」
誰かがそういった。


ラビアンロースステーキの装甲は、
1.5cmから2cmにおよぶ。
これはいつも肉屋の大将まかせで、その日の気分で変わるが、
分厚いことに変わりは無い。

熱が足りないと、
中までしっかり火が通ってしまい、
せっかくの霜降りが台無しだ。

かといって強すぎれば、
表面だけ焦げて、中が冷たいまま出さざるをえない。

そのまま焼き続ければ、
表面が炭化してしまうからだ。

肉汁を閉じ込めるためだけに表面を焼き、
中心は、赤みを残したまま油を溶かし、
旨みと甘みを開放する。

それこそが、
わたしが理想とする、
ラビアンロースステーキの在りようだ。

その最適な温度と時間を求め、
わたしは五感を研ぎ澄ます。


立ち昇る肉の焼ける芳香。
わずかに変化した牛脂の揚がる音色。
その刹那、鉄板焼きの真理の門が開いた。

見えた。今だ。
フラウボウ。皿をもて!


みんな美味しいと言って、
もりもり食べてくれた。

満足だ。



この頃になると、
みなさんすっかりお酒が入り、
楽しい感じになっていた。

よせばいいのに、
Y氏がまた赤ワインに手を出した。

Y氏は、赤ワインが好きなようだが、
すぐにへべれけになってしまう。

もちろんララァさまが
それを見逃す訳がない。

Y氏が、
前回はご迷惑をかけました。
今日はワインはこれきりで。というと、

「何やと、もっといけるやろ。」と
ララァさまがたきつける。

「じゃあ、もう一本だけ。」
そういって、赤ワインの小瓶を2、3本空けた頃、
ララァさまがふいにY氏に言った。

「誰が黒豚やって?」

「そんなん言ってませんよ。」

「化粧豚とも言うてるらしいやん。」

「誰がそんなこと言ったんですか?」

ララァさま、グーでY氏を殴る。

「ランバラルさん、聞いてくださいよ。
 こいつ、超きしょいんですよ。
 こいつ、なまっ白いでしょ。
 この前、体焼こうと自転車で桂川までいって、
 体焼いたらしいんですよ。
 そしたら、体中から黄色い汁が出てきて、
 医者に行きよったんですよ。
 頭からも汁が出てきて、
 カブトムシがよってきそうな勢いなんですよ。」

そういって、
ララァさまが携帯で無理やり撮った感じの、
Y氏の頭の写真を見せてくれた。

たしかに、
カブトムシが好きそうな感じの汁が、
頭のあちこちから出ていた。

わたしが、
「それでもYさん。
 ララァさまのような美しい方が職場にいると、
 楽しいんじゃないですか?
 うらやましい限りです。」

と言うと。

「何見てたんですか。
 超ドSですよ。
 僕なんかねぇ、毎月月末。
 たった1行記帳するためだけに、
 遠くの銀行まで使いっぱしりですよ。」

「何言うてんの。
 そのたびに200円あげてるやん。」

「ララァさまのポケットマネーですか?」

「そうですよ。」

「ララァさまは、本当にお優しいですね。
 やっぱりYさん。
 うらやましいですよ。」

「ええー?」

「でも、こいつの席、
 わたしとMの間なんですよ。
 Mとわたしが交互に内線でこいつの近くの電話ならして、
 右往左往させて楽しんでるんですけどね。」

「ねっ。ほら。
 超ドSでしょ。
 いいねん。いいねん。
 今から僕は大事な人に会うもんね。」

そういってY氏は、
真新しい携帯電話をいじりはじめた。
どうやら最近買ったお気に入りらしい。

「これにわたしの悪口、
 書いてあるんやろ。」

そう言って、
ララァさまがY氏の携帯電話をとりあげた。

「へへーん。
 それは特殊な暗号で守られているのだ。
 内部情報は見れませーん。」

Y氏がそう言うと、
ララァさまは、自分の水のコップに、
Y氏の携帯をじゃぼんとつけた。

「なにすんのー!」

Y氏が急いで携帯を救出する。
わたしはコップの水を新しいのにお取替えした。

課長さんは部下と、
ソロモン席でゲームをして盛り上がっている。

女性の営業マンが、
アバオアクー席で電話で商談をしている。
ウン千万円の商談らしい。

Y氏の携帯は、どうにか無事だったようだ。

「ランバラルさん。見たでしょ。
 超超ドSですよ。
 この席から向こうは、
 超ドSばっかりですよ。
 信じられへん。」

「なんやとー!」

ララァさまが再び携帯を取り上げて、
コップの水にじゃぼん。

「ああー!」

見かねたM氏が、

「あかんやん。なにすんの!」
そういって、コップから携帯を救い上げる。

携帯が動くのを確認して、

「大丈夫や、はい。」

そういって、M氏がコップに携帯をじゃぼんと浸けて
Y氏にコップごと返す。

「ぎゃー!信じられへん!」

Y氏があわてて携帯をコップから救いだすも、
携帯はすでに死んでいた。

「ああー、動かん、でんきがつかん。
 どうしてくれんのー。」

「わたしが悪いんとちがうで、
 とどめを刺したんはMやん。
 わたしの時は動いてたもん。」

「ドS、ドS、信じられへん。」

「バッテリーちがう?」

そうララァさまに言われてY氏はバッテリーを外し、
一生懸命バッテリーと携帯の内部を、
ご自分のシャツで拭いた。

「動かん、動かん。」

そう動揺するYさまにわたしは、

「まあまあ、Yさま、
 今はあわてて電源を入れたりすると、
 かえって壊れてしまいますよ。
 ドライヤーでゆっくり乾かして、
 明日の朝、もう一度電源を入れてみてください。
 この方法でなおった方を知っています。」

そう申し上げると、ララァさまが、

「そうそう。
 明日になったら、なおってるって。」

と言って、
なにもなかったように、
楽しそうにビールを飲み始めた。

店の中は楽しい空気で満ち溢れていた。


一人、すっかり落ち込んだY氏は、

「こうなったら、こうなったら・・・・。」と
搾り出すようにつぶやき始めた。

「こうなったら、どうやねん。」
すかさずララァさまがつっこむ。

「こうなったら、こうなったら・・・・。」

課長さんがY氏の隣に座り、
Y氏の肩に手をまわして、
Y氏の顔をのぞきこむ。

「ん?Y。お前はどうしたいんや。
 どうなりたいんや。いっぺん俺にいうてみ。」

「こうなったら、こうなったら・・・・・。」

「ん?」

「こうなったらっ!
 陰でおもいっきり悪口いうたるからなー!
 覚えとけよー!知らんどー!
 陰やから手も足もだせへんのじゃー!」



この、Y氏の堂々とした、陰口宣言で、
店は暖かい笑い声につつまれた。



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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ3号、フラウボウ4号
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慈恩弘国営業日報0080908
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 8日 晴れ


その娘が、はじめてわたしにメールしてきたのは、
先月、8月の27日だった。

震える手で打ったであろうその文面には、

我が国の国政だよりを見て、
フラウボウ募集の記事を読み、
ぜひ志願したい。と
書かれていた。


こいつは驚いた。
まさか本当に志願する者が現れようとは。

現在我が国には、
連邦軍の捕虜が5人いる。
フラウボウ3人と、マチルダさん。
そしてアムロ君だ。

フラウボウ2号の友人である4号を除けば、
実は全員わたしが直接捕虜にした
旧知の友人なのだ。

つまりわたしは、
今まで見ず知らずの人間を雇ったことが
無いのである。

とはいえ、
人手が足りない我が国にとって、
大歓迎である。


さっそく、
我が国の採用条件を伝えた。

【フラウボウの採用条件】
一つ、成人であること。
一つ、連邦軍女子制服を人前で平気で着れること。

以上だ。


娘はすぐに返事を返してきた。

当方22歳、制服を着ることも全く抵抗はありません。
どうぞ宜しくお願いします。


強い娘だ。

しかし、アラウンド40なおっさんが夜な夜な集まり、
ジーク・ジオンを大声で唱和したり、
哀・戦士を熱唱したりしている、
我が国の惨状を目の当たりにして、
はたしてその決心が揺らぐことが無いのか、
ためしに店に招いた。


8月31日(日)午後9時すぎ、
清楚なオレンジのワンピースを着たかわいらしい娘が
店のドアを開けた。

彼女である。

「よく来た。
 今日はわたしのおごりだ。
 なんでも食べていいぞ。」

そんなわたしの問いかけに、

「乞食じゃありませんから、
 めぐんでもらう訳にはいきません。」

と、かえしてきたら立派なものだったが、
返事はわたしの予想を超えていた。


「本日は、わたくしのためにお時間をとっていただき、
 本当にありがとうございました。」


わたしは、そばにいたマチルダさんの背中をどついて、

「おい。これは面接か?面接なのか?
 ここは企業か?俺は社長か?就職か?」

「そのようで。」


その娘は、小1時間ほど我が国に滞在した。
出国の時に再び、
ほんとうにフラウボウに志願するのか問うてみたが、
すでに彼女の決意は固まっていた。


9月6日(土)が彼女の初出動の日となった。

少しはやめにフラウボウ3号がやってきた。
つづいてマチルダさん。

店の開店準備を彼女たちにまかせ、
わたしが近所の酒屋さんにお酒を仕入れに行くと、
店のすぐちかくで娘に出会った。

わたしが昼間彼女に送ったメールに今気づき、
こんなところで返事を書いていたようだ。

酒屋から酒を仕入れて帰ってくると、
娘は先輩フラウボウ達に、
店の開店準備を教わっていた。

娘は履歴書を書いていた。
しっかりした字で、
志望動機まできちんと書かれている。


ここまでしっかりしていると、
かえって面白い。


開店時間が迫り、
娘は先輩達にならって、
連邦軍の制服に着替えた。

しかも今は、ディズニー強化営業中なので、
頭にネズミの耳をつけなければならない。

この、訳のわからない扮装をさせられた娘は、

「なんだか想像以上に楽しくなってきました。」と
笑顔を見せた。

店を開けると、
すぐに満席になった。

娘は進んで仕事を覚えようとがんばった。

まず、たこ焼きをがんばって焼いた。
せっかくがんばって焼いたたこ焼きを、
ぽろんぽろん、床に落とした。

奥の座敷、
アバオアクー席にウーロン茶を運んだ。

がちゃーん。ああーっ!

なにやら事件の音がする。
マチルダさんに応援に向かってもらった。


この日はいつになく忙しくなった。
終わってみれば、
売上げは10万円を超えていた。

閉店後、
店内におだやかな空気が流れ、
クルーはそれぞれ客席に座り、
アムロ君が焼いたたこ焼きをつまみながら、
談笑した。


わたしは、
初出動の日がこんなに忙しい営業となり、
がんばった娘の労をねぎらった。

娘は、すこし目を赤らめていた。

「わたし、ウーロン茶をこぼして、
 これも演出のうちですかって言われて
 喜ばれたのははじめてです。」

「よかったなぁ。
 うちのお客さんは、みんなちょっとおかしいんだよ。」

娘は嬉しそうだった。


我が国の公用車の車検でお世話になっているイシジマ整備兵が、
先週、2キロを超える、大量の焼肉用の肉を差し入れしてくれたので、
みんなで分けた。

もちろん娘にもわけてやった。

またこの日、ご常連の忍々准将が
クレーンゲームで大量のチョコレートをゲットしてきたので、
これもみんなで分けた。

マチルダさんの手作りフルーツゼリーも、
余ったので分けた。



さて、今日は売上げが久しぶりに10万円を超えた。
フラウボウたちに、
なにかご褒美を考えなければなるまい。

昨日までは、ご褒美は5人分でよかったが、
今日からは6人分だ。



娘よ、お前は今日からフラウボウ5号だ。



フラウボウ5号は、
たくさんのお土産をかかえて、
初日の任務を終え、

帰っていった。



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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ3号、フラウボウ5号、マチルダさん
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お好み焼き「慈恩弘国」
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2008/09/09 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(19) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080905
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 5日 晴れ


夢の国、
東京ディズニーランドから帰ってきた翌日の昨日は、
臨時の貸切営業となった。

ご予約のお客様は全部で15人。

フラウボウ2号と4号に出動を要請した。

ご予約は、
午後7時からだったので、
いつもより遅めの買出しにハモンと出かけた。

京都中央卸売市場の定食屋さんで昼食をとるのが
わたしたちのきまりであったが、
出かけた時間がいつもより遅かったせいで、
今日はどこも閉まっていた。


しかたなく、
近くのラーメン屋さんに行く。

このラーメン屋さんは「名門」という。
わたしの大好きなラーメン屋さんだ。

大好きなのにいつも避けていたのは、
わたしはここのラーメンを食べると、
かならずお腹をこわすからだ。

大根のキムチをばんばん放り込んだ
こってり豚骨ラーメンを、
私の胃は、もう、うけつけなくなっていたのだ。


買出しから帰ってきたのは、
午後4時をまわっていた。

ハモンは図書館へ出かけた。

わたしは、
仕込みをはじめるのにはまだ時間があるので、
少し昼寝をすることにした。

うとうととしていると、
町内のiさんが「市民だより」を届けてくれた声で目が覚めた。

店内の時計を見ると、いい時間になっていたので、
仕込みをはじめる。


午後6時、
フラウボウ2号と4号が一緒にやってきた。
4号がわたしに、
ディズニーランドのお土産をくれた。

そういえば4号は、
毎年家族とディズニーランドへ行くのが
恒例の行事になっていると話していたのを思い出す。

わたしもおかえしに、
ディズニーランドのお土産を
二人にわたした。

「Water Please」と書かれたお揃いの
青いTシャツである。

ディズニーシーには、
「チップとデールのクールサービス」という
夏限定のイベントがある。

これは、チップとデールという名前の2匹のリスが、
大音量のラテン音楽を流しながら、
船でどこからともなくやってきて、
海岸付近にいる人に水をかけてまわるイベントである。

いくつかの場所では船を横付けして、
そこにいる人をずぶ濡れにしてしまう。

パンツまでずぶ濡れだ。

特にこの
「Water Please」と書かれたシャツを着た人は、
集中的に放水されるので、
濡れたくない人は、
このシャツには近づかない。

なので、このシャツは、
混みあうディズニーシーでも、
人を寄せ付けず、
悠々歩ける素敵なシャツなのだ。

二人がディズニーシーへ行くときは、
必ず着用するようすすめておいた。


また、
今日からしばらく我が国は、
ディズニー強化営業を行うことを伝えた。

少し恥ずかしがる2号を、4号が、

「大尉が飽きるまでの辛抱だから
 がんばろう。」

と励ます。



午後7時前、
少しはやめに、お客さんがやってきた。

今日貸切でご予約いただいたのは、
近所の会社の方だ。
工場、営業、経理、全ての持ち場の方が集まったらしく、
作業着、私服、スーツと、
様々な服装の方で店がいっぱいになった。

お客さんは、
よく食べ、よく飲み、よく笑ってくれた。


ここはここで、
夢の国なのだ。


誰もが、誰かにとって、
幸せになれる場所であるならば、
この地上に寂しい想いをするひとは、

誰もいなくなるのかもしれない。


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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ2号、フラウボウ4号
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お好み焼き「慈恩弘国」
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お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
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2008/09/05 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(18) | トラックバック(1) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080903b
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008 9月3日晴れ


ついに夢から覚める時がきた。

わたしは今、
夢の国ディズニーランドからの帰途の
新幹線の中にいる。
目を閉じれば
さっきまでの楽しかった思い出が
まぶたの裏によみがえる。

ああ、帰りたくない。帰りたくないよう。
ネズミの神さま。
どうか私を楽園から追放しないでください。

とは言ってみても無理だろうから、
せめて明日から
期間限定、ディズニー強化営業をします。

2008/09/04 | 未分類 | コメント(33) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080903
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008 9月3日晴れ


ディズニーランド生活3日めの朝をむかえた。

今日もいい天気だ。

昨日の夜バスルームで洗濯したタオルが
窓辺で浜風にゆれている。


さあ、最後の冒険に
出かけよう。


2008/09/04 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(14) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080902
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008 9月2日晴れ

ディズニーランド生活も2日めになり、
だいぶいろんな事が
どうでもよくなってきた。
2008/09/04 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(21) | トラックバック(0) | page top↑
慈恩弘国営業日報0080901
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008 9月1日晴れ

ディズニーランドで遊び呆けている夢を見て目が覚めた。
今わたしは、ディズニーランドへ向かう新幹線の中にいる。

先日タニタク農政大臣が献上ししてくれたブドウを、
ハモンが車内の小さなテーブルの上にだした。
思いのほか立派なブドウである。

そしてめちゃくちゃ美味い。
お金持ちの味だ。

わたしたちは、
フラウボウたちにも分けてやるべきだったと言いながらも
ばくばく食べた。

満足した。

フフラウボウたちはタニタク農政大臣がブドウをくれた事を覚えているだろうか。
しかし、覚えていたとしても、食ってしまったものは無かったも同然である。

フラウボウたちには
何かお菓子でも買ってやろう。
2008/09/04 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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