このブログは私、中野新一が、ランバ・ラルを名乗り、彼が生きていて、現在の日本で生活していたらどんな事が起こるのか。その社会実験的試みの記録です。
わたしの名はランバラル。
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。
宇宙世紀008年 12月 14日 晴れ
この日はいつになく忙しい営業となった。
捕虜のアムロ君とフラウボウ4号とわたしは、
次々と帰国してくる同胞の接待に追われていた。
ちょうど20時ごろ、また店のドアが開いた。
入ってきたのは、
従者をひとりつれた品のいい若いご婦人であった。
「いらっしゃいませ。」と
声をかけた。
「ラル、わたしをお忘れか。」
ん?なんだか聞き覚えのある物言い。
すると、
ご婦人は、もっていたカバンを従者にあずけ、
上着を脱ぎ始めた。
その黒いトレンチコートの下から現れたのは、
目にも眩しい、真紅のジオン将校の制服だった。
しかも、ノースリーブでミニスカート。
そして、白い手袋に、
もたもたと指をとおし、
従者にあずけたカバンから拳銃をとりだして、
わたしに突きつけた。
満席の店内から歓声が湧き起こる。
一瞬、わたしが戦いの中で戦いを忘れていると、
ご婦人は指をトリガーにかけてこう言った。
「わたしをアルテイシアと知って銃をむけるか!」
おお、理不尽なこのふるまい、思い出した。
アルテイシアさまだ。

アルテイシアさまは、
わたしが父とともにおつかえしていた、
革命の同志、ジオンダイクンさまのお嬢さんである。
小さい頃はよくだっこをしてさしあげたものであった。
久しぶりの香ばしいキャラクターの登場に、
店は盛り上がった。
自然と、ジーク・ジオンの大唱和となった。
「まあまあアルテイシアさま、
銃をお納めくださいませ。」
そう言うと、ふと、
アルテイシアさまに預かり物が
あったことを思い出した。
わたしはその預かり物を店の奥からもってきて、
アルテイシアさまに報告した。
「アルテイシアさま、
以前キャスバルさまがお越しの際、
いつの日か、アルテイシアがここにやってきたら、
これを渡して、そろそろ連邦軍の軍艦から降りるよう
説得してくれ。と、ことづかりました。」
それは金塊だった。

「ラル、これは。」
これで当面の生活はできるだろうという
お心づかいでしょう。
「ラル、後ろにチョコレートって書いてある。」
このチョコレートを食って、
当面、食いつなげというお兄様のお心づかいでしょう。
アルテイシアさまは、
お土産を持ってきてくれた。
お手製のグフの人形と、

「アルテイピヨコまんじゅう」とマジックで書かれた、
ひよこまんじゅう。
そして、
ご自身でアレンジして歌っていらっしゃる
哀・戦士のCDであった。

グフの人形には、
わたしの軍服のマークと、
「祝・慈恩弘国、12月22日」と書かれた
マントがかけてあった。
我がお好み焼き慈恩弘国の建国記念日である。

とても器用な仕事である。
お聞きすると、
今おめしになっていらっしゃる、
立派なジオン将校の制服も、
ご自身でお作りになったそうだ。
戦後、アルテイシアさまが、
食べていくために、
洋裁で生計を立てていた様子が目に浮かび
おいたわしい気持ちになった。
「アルテイピヨコまんじゅう」は、
先日フラウボウやハモンが、
マチルダさんの家で、
「ギャル会」と称して集まってお茶会をした時、
お茶請けに持っていかれ、
わたしは結局一つも口にすることはできなかった。
哀・戦士のCDは、
なかなかのものである。
あの戦時中の緊張したアルテイシアさまからは
想像もできない、
かわいらしい歌声だ。
YouTubeに勝手に画像をつけてアップしてみた。
姫様のご降臨を待ち続けていた、
ジオンダイクン派の同胞には、
希望になると思うので、
聴いてみるとよかろう。
↓
★アルテイシア様のうるわしの歌声
思えば、姫様には言いたいことが山ほどあった。
ホワイトベースで、
わたしが自殺に追いやられたのも、
姫様のせいですし、
わたしの部下を、背後からバズーカで撃ったのも
姫様達だと聞いた。
しかも、ほんとか嘘か、
バズーカで撃たれ、ホワイトベースから転落してゆく
わたしの部下のコズンを眺めながら、
「気にすることは無いわ。」と、おっしゃられたとも聞く。
お小さい頃、あんなに相手をしてあげたのに。
サイド3の動物園にパンダが来た時なんか、
姫様がどうしても見たいというから、
連れて行ってあげて、
2時間待ちの行列を並んで、やっとパンダのオリのとこまで来たら、
急に「おしっこ」と言い出して、
結局また列の最後尾から2時間並んだのに・・・。
キャスバルさまが、
塾や学校に行く時なんか、いつも、
「にいさ~ん、キャスバルにいさ~ん!」って
必死になって追いかけていくもんだから、
その度に、アルテイシアさまの大好きな金塊を買ってあげて、
なだめてあげたのに・・・。
そんなわたしのご奉仕は、
結局、姫様の心には届いていなかったのか。
そう疑い続けた戦後の30年だった。
しかし、今こうして姫様を目の前にしてみると、
そんな疑問もわだかまりも消えうせた。
ご健在でなにより。
心からそう想えた。
アルテイシアさまは今、
日本国に帰化し、
ま~ちゃん・ダイクンという名を名乗っていらっしゃるということだ。
↓
★アルテイシア様のうるわしのサイト
もうお姫様ではないので、自分で稼がなくてはならない。
お金になりそうな事には手当たり次第、
持ち前のバイタリティーを発揮して、手を出していらっしゃるようだが、
主に、タレント活動で生計を立てているということだ。
なるほど、
以前にも増して、お美しくなられた。
アルテイシアさまは、
ソーラレイをご注文あそばされた。
ソーラレイは、
焼きそば3人前。
たこ焼き2人前の大質量をほこる兵器だ。
あらためて、
ソーラレイは、炭水化物の無限地獄ですが、
大丈夫でしょうか?と問うと、
「わたしを誰だと思うか。
かまわぬ、ソーラレイを発射せよ。」
とのこと。
しかたなく、おおせのとおり、
ゲルドルバ照準でソーラレイを発射してみたところ、
多少お付きの者に手伝ってもらいながらも、
ほとんどお1人でおめしあそばされた。
その後、店は忙しくなり、
わたしは多くお話する機会はなかったが、
アルテイシアさまは、
気さくで明るく、お優しいものごしだったので、
我が国の常連の第13独身部隊の隊員をはじめ、
ソロモン席の部隊の方など、
店中の同胞がこぞって謁見をもとめた。
アルテイシアさまは
親しみを込めて集まってくる国民と会話を交わされ、
楽しくすごされているご様子であった。
瞬く間に時は流れ、
時刻は午後10時。
アルテイシアさまご出立の時がやってきた。
退座の際には、名残を惜しんで、
全国民あげて、ジーク・ジオンの唱和が行われた。
「ラル、また会おう。」と、お言葉をいただいた。
「アルテイシアさまもお元気で。」
敬礼し、凛とたたずむアルテイシアさまのお姿には、
もう、私にだっこをせがんだ少女の面影は無かった。
ジオン将校の制服を着て我が国から出れば、
たちまち当局に職務質問されてしまう。
こんな時間に、こんな歳になって、こんな格好をしていれば、
アルテイシアさまとて言い逃れはできない。
アルテイシアさまは、
不本意ながらもジオンの栄光をコートに隠し、
店の扉を開けられた。
閉まりゆくガラスの扉の向こうで、
ふたたび笑顔で敬礼をされた。
わたしは、
扉の向こうで微笑むアルテイシアさまに届くよう、
大きな声で別れを告げた。
「もう、わたしの部下を、背中から撃たないでねー!」
冷たい漆黒の、12月の宇宙に、
アルテイシアさまの優しさだけが残された。
--------------------------------------------------
本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン、
捕虜:フラウボウ3号、アムロ君、
--------------------------------------------------
お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/
お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。
宇宙世紀008年 12月 14日 晴れ
この日はいつになく忙しい営業となった。
捕虜のアムロ君とフラウボウ4号とわたしは、
次々と帰国してくる同胞の接待に追われていた。
ちょうど20時ごろ、また店のドアが開いた。
入ってきたのは、
従者をひとりつれた品のいい若いご婦人であった。
「いらっしゃいませ。」と
声をかけた。
「ラル、わたしをお忘れか。」
ん?なんだか聞き覚えのある物言い。
すると、
ご婦人は、もっていたカバンを従者にあずけ、
上着を脱ぎ始めた。
その黒いトレンチコートの下から現れたのは、
目にも眩しい、真紅のジオン将校の制服だった。
しかも、ノースリーブでミニスカート。
そして、白い手袋に、
もたもたと指をとおし、
従者にあずけたカバンから拳銃をとりだして、
わたしに突きつけた。
満席の店内から歓声が湧き起こる。
一瞬、わたしが戦いの中で戦いを忘れていると、
ご婦人は指をトリガーにかけてこう言った。
「わたしをアルテイシアと知って銃をむけるか!」
おお、理不尽なこのふるまい、思い出した。
アルテイシアさまだ。

アルテイシアさまは、
わたしが父とともにおつかえしていた、
革命の同志、ジオンダイクンさまのお嬢さんである。
小さい頃はよくだっこをしてさしあげたものであった。
久しぶりの香ばしいキャラクターの登場に、
店は盛り上がった。
自然と、ジーク・ジオンの大唱和となった。
「まあまあアルテイシアさま、
銃をお納めくださいませ。」
そう言うと、ふと、
アルテイシアさまに預かり物が
あったことを思い出した。
わたしはその預かり物を店の奥からもってきて、
アルテイシアさまに報告した。
「アルテイシアさま、
以前キャスバルさまがお越しの際、
いつの日か、アルテイシアがここにやってきたら、
これを渡して、そろそろ連邦軍の軍艦から降りるよう
説得してくれ。と、ことづかりました。」
それは金塊だった。

「ラル、これは。」
これで当面の生活はできるだろうという
お心づかいでしょう。
「ラル、後ろにチョコレートって書いてある。」
このチョコレートを食って、
当面、食いつなげというお兄様のお心づかいでしょう。
アルテイシアさまは、
お土産を持ってきてくれた。
お手製のグフの人形と、

「アルテイピヨコまんじゅう」とマジックで書かれた、
ひよこまんじゅう。
そして、
ご自身でアレンジして歌っていらっしゃる
哀・戦士のCDであった。

グフの人形には、
わたしの軍服のマークと、
「祝・慈恩弘国、12月22日」と書かれた
マントがかけてあった。
我がお好み焼き慈恩弘国の建国記念日である。

とても器用な仕事である。
お聞きすると、
今おめしになっていらっしゃる、
立派なジオン将校の制服も、
ご自身でお作りになったそうだ。
戦後、アルテイシアさまが、
食べていくために、
洋裁で生計を立てていた様子が目に浮かび
おいたわしい気持ちになった。
「アルテイピヨコまんじゅう」は、
先日フラウボウやハモンが、
マチルダさんの家で、
「ギャル会」と称して集まってお茶会をした時、
お茶請けに持っていかれ、
わたしは結局一つも口にすることはできなかった。
哀・戦士のCDは、
なかなかのものである。
あの戦時中の緊張したアルテイシアさまからは
想像もできない、
かわいらしい歌声だ。
YouTubeに勝手に画像をつけてアップしてみた。
姫様のご降臨を待ち続けていた、
ジオンダイクン派の同胞には、
希望になると思うので、
聴いてみるとよかろう。
↓
★アルテイシア様のうるわしの歌声
思えば、姫様には言いたいことが山ほどあった。
ホワイトベースで、
わたしが自殺に追いやられたのも、
姫様のせいですし、
わたしの部下を、背後からバズーカで撃ったのも
姫様達だと聞いた。
しかも、ほんとか嘘か、
バズーカで撃たれ、ホワイトベースから転落してゆく
わたしの部下のコズンを眺めながら、
「気にすることは無いわ。」と、おっしゃられたとも聞く。
お小さい頃、あんなに相手をしてあげたのに。
サイド3の動物園にパンダが来た時なんか、
姫様がどうしても見たいというから、
連れて行ってあげて、
2時間待ちの行列を並んで、やっとパンダのオリのとこまで来たら、
急に「おしっこ」と言い出して、
結局また列の最後尾から2時間並んだのに・・・。
キャスバルさまが、
塾や学校に行く時なんか、いつも、
「にいさ~ん、キャスバルにいさ~ん!」って
必死になって追いかけていくもんだから、
その度に、アルテイシアさまの大好きな金塊を買ってあげて、
なだめてあげたのに・・・。
そんなわたしのご奉仕は、
結局、姫様の心には届いていなかったのか。
そう疑い続けた戦後の30年だった。
しかし、今こうして姫様を目の前にしてみると、
そんな疑問もわだかまりも消えうせた。
ご健在でなにより。
心からそう想えた。
アルテイシアさまは今、
日本国に帰化し、
ま~ちゃん・ダイクンという名を名乗っていらっしゃるということだ。
↓
★アルテイシア様のうるわしのサイト
もうお姫様ではないので、自分で稼がなくてはならない。
お金になりそうな事には手当たり次第、
持ち前のバイタリティーを発揮して、手を出していらっしゃるようだが、
主に、タレント活動で生計を立てているということだ。
なるほど、
以前にも増して、お美しくなられた。
アルテイシアさまは、
ソーラレイをご注文あそばされた。
ソーラレイは、
焼きそば3人前。
たこ焼き2人前の大質量をほこる兵器だ。
あらためて、
ソーラレイは、炭水化物の無限地獄ですが、
大丈夫でしょうか?と問うと、
「わたしを誰だと思うか。
かまわぬ、ソーラレイを発射せよ。」
とのこと。
しかたなく、おおせのとおり、
ゲルドルバ照準でソーラレイを発射してみたところ、
多少お付きの者に手伝ってもらいながらも、
ほとんどお1人でおめしあそばされた。
その後、店は忙しくなり、
わたしは多くお話する機会はなかったが、
アルテイシアさまは、
気さくで明るく、お優しいものごしだったので、
我が国の常連の第13独身部隊の隊員をはじめ、
ソロモン席の部隊の方など、
店中の同胞がこぞって謁見をもとめた。
アルテイシアさまは
親しみを込めて集まってくる国民と会話を交わされ、
楽しくすごされているご様子であった。
瞬く間に時は流れ、
時刻は午後10時。
アルテイシアさまご出立の時がやってきた。
退座の際には、名残を惜しんで、
全国民あげて、ジーク・ジオンの唱和が行われた。
「ラル、また会おう。」と、お言葉をいただいた。
「アルテイシアさまもお元気で。」
敬礼し、凛とたたずむアルテイシアさまのお姿には、
もう、私にだっこをせがんだ少女の面影は無かった。
ジオン将校の制服を着て我が国から出れば、
たちまち当局に職務質問されてしまう。
こんな時間に、こんな歳になって、こんな格好をしていれば、
アルテイシアさまとて言い逃れはできない。
アルテイシアさまは、
不本意ながらもジオンの栄光をコートに隠し、
店の扉を開けられた。
閉まりゆくガラスの扉の向こうで、
ふたたび笑顔で敬礼をされた。
わたしは、
扉の向こうで微笑むアルテイシアさまに届くよう、
大きな声で別れを告げた。
「もう、わたしの部下を、背中から撃たないでねー!」
冷たい漆黒の、12月の宇宙に、
アルテイシアさまの優しさだけが残された。
--------------------------------------------------
本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン、
捕虜:フラウボウ3号、アムロ君、
--------------------------------------------------
お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/
お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。
宇宙世紀008年 12月 17日 晴れ
「おおーい、クラーンプ。
クランプはいないのかー。
クラーンプ。」
ばたばた、ばたばた、がちゃ。
「はいはい、隊長、
なんでございましょうか。」
「ふふふ、クランプ。
わたしは、いいことを思いついたぞ。」
「なにか出世の奇策でも。」
「はははは、自営業のわたしに、
これ以上、どう出世しろというのだ。
まあ聞け。
我がジオン公国が独立戦争で敗れてから、
かれこれ30年になる。
敗戦国の生き残りとして、
我々は、永く辛酸をなめてきたが、
去年、わたしは地球上に19坪の土地を
住宅ローンを組んで購入することに成功した。
そしてここを、誰はばかることなく、
ジオンの占領地として独立宣言し、
同時に、お好み焼き慈恩弘国を開国。
この1年で、地球上に離散した、
多くのジオンゆかりの人々と連絡を取り合うことができた。」
「そうですねぇ隊長。
連邦軍が好き勝手に作った、
一年戦争の記録映画では、
みんな死んでしまったことになってますが、
ララァさまは、
元気に不動産屋さんで働いていらっしゃいますし、
キシリアさまは、大手家電量販店で、
ガルマさまは郵便局で、
シャア大佐は鉄工所で働いていらっしゃるそうで、
あのマクベ大佐なんか、
あいかわらず協調性が無いもんだから、
毎日日本中出張させられているとか。」
「ああ、フラナガン博士が神奈川で、
今もあいかわらず訳のわからないものを研究しているのには
関心したな。」
「赤鼻さんはご常連ですしね。」
「しかしクランプ、
そう懐古談に花をさかせてばかりではだめだ。
我が国が、お好み焼き慈恩弘国を名乗り、
連邦政府に対して独立を宣言した目的はなんだ。」
「はっ、ジオン復活の悲願達成のためであります。」
「そうだ。
全てはそのための手段なのだ。」
「お好み焼き慈恩弘国を建国して今月でまる1年。
この間、世界中から我が国を訪れてくれた
ジオンゆかりの人々は、
延べ、およそ2000人を超えた。
いずれも、ジオン復活を望む者ばかりだ。」
「隊長。」
「クランプ。機は熟した。
今こそ、連邦政府に対し、
再び独立闘争を挑む時だと決断する。」
「ランバラル隊長!
御意でございます。」
「一年戦争の敗戦により、
我らスペースノイドの自由と権利は踏みにじられたままだ。
さらに、この敗戦によってもたらされた平和と安寧の中で、
ジオン民族の誇りも名誉もゆるやかに奪われ続けてきた。
家でガンプラを飾れば、
邪魔だといわれ。
人まえでガンダムの話をすれば、
オタクといわれ・・・・・。
40過ぎてガンダム好きで何が悪い!
好きなものは、好きなのだ、
しかたないじゃないか!」
「隊長。
ガンダムはにっくき敵のモビルスーツですっ。」(≧▽≦)ゞ
「そうだったな。
ザク、ザクのプラモデル。
ザクプラな。
ザクプラ飾って何が悪いー!」( ̄ω ̄)/
「ぱちぱちぱちぱち。
隊長、その意気です。
で、独立闘争を挑むってどうするんです。
戦争ですか?」
「バカモノ。
お前はあの凄惨な一年戦争で何も学ばなかったのか。
戦争は、なんとしても回避しなくてはならない。
人の命を奪う行為が正当化される社会など、
決してあってはならないのだ。
第一、乗用車一台しか置けない我が国の駐車場に、
どうやってザクを配備するのだ。」
「しかし、ザクもなしに、
どうやって戦うのです?」
「これだ。」

「なんですか?シール?」
「そうだシールだ。
しかもただのシールではない。
このシール1枚で、
ジオンの領土を拡大し、
世界を征服するのだ。」
「隊長、おふざけですか。」
「このシールをよく見てみろ。」
「なにか書いてありますね。」
「よく読め。」
「HERE IS THE TERRITORY OF ZEON・・・
ここはジオン公国の占領地です。・・・」
「そうだ。
このシールを、我が国に来てくれた同胞に配り、
その同胞の所有物や土地建物に貼ってもらって、
ジオンの占領地であることを宣言するのだ。」
「それでどうなるのです?」
「そこはジオンの領地になる。」
「そんなバカな。
すぐ奪い返されますよ。」
「誰が?どうやって?」
「そりゃあ、ここですと、日本国が。」
「ちゃんと住民税や固定資産税、自動車税を払ってるのにか?」
「おおっ!」(@o@)
「そうだ。わかったかクランプ。
口で言うだけなら、誰も手が出せまい。
いままでどうり、日本国に税金を払って、
住民票もそのまま。
普通に社会生活を送りつつ、
口だけでジオン独立を宣言するのだ。」
「素晴らしいです隊長!」
「この戦法をもちいれば、
たいしてお金も使わず、
暴力に訴えることも無く、
世界中のジオンの同胞の私有地や所有物の占める面積を
ジオンの領土とすることができるのだ。」
「隊長、感激であります。」
「1年間で我が国を訪れてくれた同胞はおよそ2000人、
この2000人が仮に実家や持ち家として50坪の私有地を有していた場合、
その全てで独立宣言を行ったとしたら、
およそ33万平米、東京ドーム7個分の面積となり。
およそ11年独立運動を続ければ、
埼玉県に相当する面積を、
我がジオンは手に入れることができる。」
「隊長、壮大な絵に描いたモチであります。」
がしっ
「そのとおりだ。
しかし、大切なのは気持ちだクランプ。
たとえこの肉体が連邦軍の支配下にあったとしても、
心はジオンの旗のもと、自由でありたいではないか。」
「はい。その方が兵どもも喜びます、隊長。」
「よし、ギャロップ発進。
木馬をキャッチしたら、ザク、キュイはギャロップから離れて展開する。
サグレ、マイルは見張りだ。
クランプ、
お店に来たお客様に、
この“ジオン領宣言シール”をお配りしろ。
そして、
お好み焼きの売上げから人件費と仕入れ代を差し引いて、
シールの量産体制に入るのだ。」
「はっ。」
「猛志四海に馳せ、翼を広げ、
今まさに飛び立たんと欲す。
さあ、気分的ジオン独立闘争の火蓋は
切って落とされたのだ。」
----------------------------------------------------------
本日のクルー
店長:ランバラル大尉
----------------------------------------------------------
お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/
お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
----------------------------------------------------------
ジオン領宣言シールは、
ザクに比べれば生産コストは安いとはいえ、
現在の慈恩弘国の一般会計で自由に使える国家予算は
そんなにありません。
お一人さま、一枚にてご協力お願いいたします。
また、他人のもの、公共のものには決して貼らないでください。
連邦軍につけいる好機をあたえ、
戦局が不利になってしまいます。
シールは基本的にお店にて、無料でお配りいたします。
郵送などには対応いたしておりません。
どうしても欲しいけど、どうしてもお店に来られないという方は、
お申し出くださいませ。
どうにかして対応いたします。
自分のできる範囲で、
できるだけ人に迷惑をかけない独立闘争こそ、
我らの理想である。
ジーク・ジオン。
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数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。
宇宙世紀008年 12月 17日 晴れ
「おおーい、クラーンプ。
クランプはいないのかー。
クラーンプ。」
ばたばた、ばたばた、がちゃ。
「はいはい、隊長、
なんでございましょうか。」
「ふふふ、クランプ。
わたしは、いいことを思いついたぞ。」
「なにか出世の奇策でも。」
「はははは、自営業のわたしに、
これ以上、どう出世しろというのだ。
まあ聞け。
我がジオン公国が独立戦争で敗れてから、
かれこれ30年になる。
敗戦国の生き残りとして、
我々は、永く辛酸をなめてきたが、
去年、わたしは地球上に19坪の土地を
住宅ローンを組んで購入することに成功した。
そしてここを、誰はばかることなく、
ジオンの占領地として独立宣言し、
同時に、お好み焼き慈恩弘国を開国。
この1年で、地球上に離散した、
多くのジオンゆかりの人々と連絡を取り合うことができた。」
「そうですねぇ隊長。
連邦軍が好き勝手に作った、
一年戦争の記録映画では、
みんな死んでしまったことになってますが、
ララァさまは、
元気に不動産屋さんで働いていらっしゃいますし、
キシリアさまは、大手家電量販店で、
ガルマさまは郵便局で、
シャア大佐は鉄工所で働いていらっしゃるそうで、
あのマクベ大佐なんか、
あいかわらず協調性が無いもんだから、
毎日日本中出張させられているとか。」
「ああ、フラナガン博士が神奈川で、
今もあいかわらず訳のわからないものを研究しているのには
関心したな。」
「赤鼻さんはご常連ですしね。」
「しかしクランプ、
そう懐古談に花をさかせてばかりではだめだ。
我が国が、お好み焼き慈恩弘国を名乗り、
連邦政府に対して独立を宣言した目的はなんだ。」
「はっ、ジオン復活の悲願達成のためであります。」
「そうだ。
全てはそのための手段なのだ。」
「お好み焼き慈恩弘国を建国して今月でまる1年。
この間、世界中から我が国を訪れてくれた
ジオンゆかりの人々は、
延べ、およそ2000人を超えた。
いずれも、ジオン復活を望む者ばかりだ。」
「隊長。」
「クランプ。機は熟した。
今こそ、連邦政府に対し、
再び独立闘争を挑む時だと決断する。」
「ランバラル隊長!
御意でございます。」
「一年戦争の敗戦により、
我らスペースノイドの自由と権利は踏みにじられたままだ。
さらに、この敗戦によってもたらされた平和と安寧の中で、
ジオン民族の誇りも名誉もゆるやかに奪われ続けてきた。
家でガンプラを飾れば、
邪魔だといわれ。
人まえでガンダムの話をすれば、
オタクといわれ・・・・・。
40過ぎてガンダム好きで何が悪い!
好きなものは、好きなのだ、
しかたないじゃないか!」
「隊長。
ガンダムはにっくき敵のモビルスーツですっ。」(≧▽≦)ゞ
「そうだったな。
ザク、ザクのプラモデル。
ザクプラな。
ザクプラ飾って何が悪いー!」( ̄ω ̄)/
「ぱちぱちぱちぱち。
隊長、その意気です。
で、独立闘争を挑むってどうするんです。
戦争ですか?」
「バカモノ。
お前はあの凄惨な一年戦争で何も学ばなかったのか。
戦争は、なんとしても回避しなくてはならない。
人の命を奪う行為が正当化される社会など、
決してあってはならないのだ。
第一、乗用車一台しか置けない我が国の駐車場に、
どうやってザクを配備するのだ。」
「しかし、ザクもなしに、
どうやって戦うのです?」
「これだ。」

「なんですか?シール?」
「そうだシールだ。
しかもただのシールではない。
このシール1枚で、
ジオンの領土を拡大し、
世界を征服するのだ。」
「隊長、おふざけですか。」
「このシールをよく見てみろ。」
「なにか書いてありますね。」
「よく読め。」
「HERE IS THE TERRITORY OF ZEON・・・
ここはジオン公国の占領地です。・・・」
「そうだ。
このシールを、我が国に来てくれた同胞に配り、
その同胞の所有物や土地建物に貼ってもらって、
ジオンの占領地であることを宣言するのだ。」
「それでどうなるのです?」
「そこはジオンの領地になる。」
「そんなバカな。
すぐ奪い返されますよ。」
「誰が?どうやって?」
「そりゃあ、ここですと、日本国が。」
「ちゃんと住民税や固定資産税、自動車税を払ってるのにか?」
「おおっ!」(@o@)
「そうだ。わかったかクランプ。
口で言うだけなら、誰も手が出せまい。
いままでどうり、日本国に税金を払って、
住民票もそのまま。
普通に社会生活を送りつつ、
口だけでジオン独立を宣言するのだ。」
「素晴らしいです隊長!」
「この戦法をもちいれば、
たいしてお金も使わず、
暴力に訴えることも無く、
世界中のジオンの同胞の私有地や所有物の占める面積を
ジオンの領土とすることができるのだ。」
「隊長、感激であります。」
「1年間で我が国を訪れてくれた同胞はおよそ2000人、
この2000人が仮に実家や持ち家として50坪の私有地を有していた場合、
その全てで独立宣言を行ったとしたら、
およそ33万平米、東京ドーム7個分の面積となり。
およそ11年独立運動を続ければ、
埼玉県に相当する面積を、
我がジオンは手に入れることができる。」
「隊長、壮大な絵に描いたモチであります。」
がしっ
「そのとおりだ。
しかし、大切なのは気持ちだクランプ。
たとえこの肉体が連邦軍の支配下にあったとしても、
心はジオンの旗のもと、自由でありたいではないか。」
「はい。その方が兵どもも喜びます、隊長。」
「よし、ギャロップ発進。
木馬をキャッチしたら、ザク、キュイはギャロップから離れて展開する。
サグレ、マイルは見張りだ。
クランプ、
お店に来たお客様に、
この“ジオン領宣言シール”をお配りしろ。
そして、
お好み焼きの売上げから人件費と仕入れ代を差し引いて、
シールの量産体制に入るのだ。」
「はっ。」
「猛志四海に馳せ、翼を広げ、
今まさに飛び立たんと欲す。
さあ、気分的ジオン独立闘争の火蓋は
切って落とされたのだ。」
----------------------------------------------------------
本日のクルー
店長:ランバラル大尉
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お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/
お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
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ジオン領宣言シールは、
ザクに比べれば生産コストは安いとはいえ、
現在の慈恩弘国の一般会計で自由に使える国家予算は
そんなにありません。
お一人さま、一枚にてご協力お願いいたします。
また、他人のもの、公共のものには決して貼らないでください。
連邦軍につけいる好機をあたえ、
戦局が不利になってしまいます。
シールは基本的にお店にて、無料でお配りいたします。
郵送などには対応いたしておりません。
どうしても欲しいけど、どうしてもお店に来られないという方は、
お申し出くださいませ。
どうにかして対応いたします。
自分のできる範囲で、
できるだけ人に迷惑をかけない独立闘争こそ、
我らの理想である。
ジーク・ジオン。
----------------------------------------------------------
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。
宇宙世紀008年 12月 11日 晴れ
南極条約における捕虜の扱いについて、
その取り決めは多岐にわたる、
しかも、レビル将軍に逃げられたせいで、
ジオン側にとっては、
かなり不利な条約となっている。
そのひとつに、
ジオン軍が連邦軍側の人間を捕虜にした場合、
1年に1回以上は、
慰安旅行に連れて行かねばならないというのがある。
しかたが無いので、
毎日の売上から1000円ずつ貯金して、
旅行の資金をためた。
全額とはいかなかったものの、
お小遣い程度には、みんなのぶんがたまったので、
先日、店を休んで捕虜を連れて1泊2日の旅行に出かけた。
行き先は、
マチルダさんが、
「温泉!温泉!」とうるさいので、
温泉に決まった。
具体的にいうと、
京都市内から小1時間ほどの距離にある、
「るり渓温泉」というところだ。
フラウボウ2号と5号は、
朝9時に我が国に集合し、わたしのギャロップで
9時30分に出発。
途中、マチルダさんと、フラウボウ3号を乗せた
アムロ君のバギーと
別の集合場所で合流して、
目的地に向う段取りだ。
しっかり者の2号が、
9時少し前にやってきた。
同じ頃、5号から電話がかかってきた。
「すみません。30分ほど遅れます。」
どうやら今起きたようだ。
しばらくして、
5号は、自分でも言ったように、
30分ほど遅れてやってきた。
5号は、なにか気まずい事をしでかしたとき、
目線をそらし、
伏し目がちでおろおろする。
そして、自分を助けてくれる人を探す。
その場にちょうど2号がいたので、
2号のそでにすがりついて、
遅刻をした気まずさに耐えていた。
さあ出発だ。
アムロ君との集合場所は、
高速道路の入口ちかくのコンビニの駐車場だった。
わたしのギャロップが先についたが、
アムロ君のバギーもほどなくやってきた。
そのコンビニで、車の中で食べるお菓子とジュースを
買うことにした。
5号が、
「お昼ご飯も買っていいですか?」
と聞いてきた。
こいつ、腹がへっているようだ。
「いや、残念だが昼飯は現地でとる。
お菓子でがまんせよ。」というと、
5号は、お菓子をいっぱい買っていた。
我々は一路、高速道路を北へ向った。
時刻は10時30分。
まだ朝の雰囲気の残る、
秋晴れの京都縦貫道は、よくすいていて心地よかった。
料金所を1つ越えて、千代川出口で高速道路を降りる。
ここは、丹波篠山の入口だ。
府道73号線を西へ向う。
景色はどんどん、
日本の原風景に姿を変える。
国道372号線を右折し、さらに西へ、
このあたりは視界がひらけている。
広い田んぼの中を
どこまでも続く一筋の道。
遠くその周囲を、丹波の山並みが囲む。
今年は台風がひとつも来なかった。
そのおかげで、
桜をはじめ、例年なら、この時期に落葉しているはずの木も、
紅葉に色を添え、丹波の山並は、
色とりどりの暖色におおわれていた。
青い空と紅葉のコントラストが
美しかった。
府道54号を左折し南へ向う。
とたんに道幅が狭くなり、
すれ違いも困難なほどだ。
るり渓に続く小川に、
道は平行していた。
るり渓とは、奇岩や怪石がおよそ4キロも続く渓谷である。
時折車窓から見える川の表情に、
それは表れていた。
12時前には、現地に到着した。
るり渓温泉は、
テニスコートや天体観測ドームなどの施設を備えた、
レジャーランドのような場所だ。
我々は、少し早かったが、
レストランで昼食をとる事にした。
うどんを注文すると、
洗面器のような巨大な鉢で出てきた。
かといって量が多いという訳では無い。
そして、しゃもじくらいの大きさがあるレンゲ。
5号は麺類を食べる時、
左手でレンゲを持ちながら、
麺をスープと一緒にすするのが好きらしい。
この巨大なレンゲの重さに耐えながら、
一生懸命食べていた。
しかし、となりのテーブルの子どもは
鉢に上半身をつっこんで、さらに苦労していた。
マチルダさんは笑うばかりで、
写真を撮って遊んでいた。
チェックインは2時だった。まだ時間がある。
それまで園内の施設で時間をつぶすことにする。
2時に駐車場に集合ということで、
ここでいったん解散した。
好奇心旺盛なフラウボウ3号は、
フィッシュテラピーに挑戦するといって、
足を魚につつかれに行った。
同じ年で仲のいいフラウボウ2号と5号は、
休憩室でおしゃべりに興じた。
わたしとハモン、
アムロ君とマチルダさんは、
敷地内を探検に出かけた。
駐車場脇に立っている、
敷地内の施設の案内板には、
様々な施設が紹介されていた。
中でも興味をそそられたのは、
ゼロ戦研究所だ。
「すごい。ゼロ戦だ。ゼロ戦。」わたしが興奮すると、
「研究してるだけで、飛行機は無いかもしれませんよ。」と、
アムロ君がクールにこたえた。
しかし、看板にはゼロ戦のイラストが描いてある。
「ほら、ゼロ戦の絵が描いてある。
あるんだよ、ゼロ戦が。」
なにはともあれ、
我々はそのゼロ戦研究所に向かった。
ゼロ戦とは、
大日本帝国海軍の主力艦上戦闘機で、
正式には、零式艦上戦闘機という。
第二次世界大戦初期には、外国の戦闘機を圧倒した
我が国のザクのような、すごい戦闘機だ。
今から思えば、
なんでこんな丹波の山奥でゼロ戦を研究しているのか。
そもそもなんでゼロ戦なのか。
疑問を持つべきであったのかもしれない。
ゼロ戦研究所は、
前面がガラスのサッシで中が見えるようになっている、
プレハブの小屋だった。
遠くからでも、
その中に戦闘機が展示されていることがわかった。
わたしは、はやる想いをこらえきれず、
駆け寄った。
光の反射でどうも中が見えずらい。
わたしは窓に額をこすりつけて、
ゼロ戦の雄姿をよく見ようとした。
緑色に塗られた機体。
日の丸。尾翼が錆びて欠落しているのは、
戦後の長い歳月によるものか。
しかしなにかが違う。
2人乗り?
自慢の可変式の3枚プロペラが、
なぜか2枚。
胴体がなんか丸い。
栄エンジンのスリムなシルエットが、
なぜか短くずんぐり。
ピトー管や機銃のあった穴もない。
つるつる。
このタンデム仕様のゼロ戦。
説明は、唯一スペックの書かれたプレートが傍にあるだけ。
しかも、どこを見ても、
ゼロ戦とは一言も書かれていない。
そして、
そばに「人間魚雷回天」と書かれた、
こちらはえらく複雑な形をした、
どんな歴史資料でも見たことも無い「回天」。
「機雷」と書かれた、
丸い鉄の塊がごろん。
わたしはこのときハッと気づいた。
ここは思いのほか、パラダイスだ。
なにも信じてはいけない、
誰かが勝手につくった異世界だ。
わたしたちはそう気持ちを切り替えて、
ふたたび、るり渓温泉パラダイスの調査を続行した。
ゼロ戦研究所の傍には、
カブトムシ広場がある。
それは自動車くらいの大きさの
小さなぼろぼろのビニールハウスだった。
中には、低いコナラの木が植えてあって、
枯れた雑草で覆われていた。
この地中にカブトムシの幼虫が眠っているのか。
しかし今、
ここがカブトムシ広場である面影は、
ビニールハウスの破れたビニールの繊維に絡みついた、
1本の、ぼちれたカブトムシの足が物語るのみだった。
しばらく進むと、
ポッチーという怪獣が棲むという
池に出た。
我々は、しばらくポッチーが出現するのを
息をこらして待ったが、
鏡のような池の水面には、
波風ひとつ立たず。
寒さにこらえきれなくなった我々は、
その場を後にした。
さらに行くと、
ネパール友好館という、
3階建ての木彫の塔が出現した。
説明文には、
この塔は、花と緑の博覧会で展示されたもので、
すべてネパール現地の職人が手がけ
製作されたものだと書いてある。
細部にわたり精巧な作りだ。
高さはおよそ、15メートルくらいはあるだろう。
近くでみると、その大きさとディテールに関心する。
しかし、
あのゼロ戦に、カブトムシの足に、ポッチーと続いて、
このネパール友好館なのだ。
この流れでいくと、どうもウソくさい。
さらに進むと、
「石の動物たちの広場」に出た。
そこは山の斜面を切り開いた感じで、
傾斜のきつい草木の伐採されたむき出しの土地に、
大小さまざまな石の動物が点在していた。
大きさもバラバラ、
完成度もバラバラ。
なかなかリアルでかっこいいものもあれば、
信楽焼きのタヌキのようなものまで置いてある。
楽しい。
マチルダさんに大きなライオンの石像にまたがってもらって、
ナルニア国物語ごっこなどをして、
遊んだ。
ものすごい下手な絵を立体にしたような、
パンダの石像もあったので、
今、足を魚に食われている、
パンダ好きの3号にメールで写真を送っておいた。
そうこうしているうちに、
集合時間の2時になった。
我々はチェックインを済ますと、
部屋に案内された、
部屋は、男子部隊と女子部隊で、
2つ用意してもらった。
夕食は6時。
男子部隊は、それまで温泉に入ることにした。
女子部隊は、部屋で女子話でかなり盛り上がったようだ。
るり渓温泉は、
普通の温泉とは別に、水着着用で入れる、
プールや露天風呂などの施設がある。
マチルダさんが、もう何年も水着なんて着ていないというので、
3号が気をきかせてマチルダさんの分を持ってきたようだ。
それが、えらくセクシーなものだったそうで、
もし着用してプールに現れでもしたら、
たくさんのカイ・シデンが恥のかきついでに、
近づいてきたかもしれない。
夕食はボタン鍋だった。
ボタンとはイノシシの肉のことだ。
鍋のほかにも、シシ肉の陶板焼きもあった。
コンロで陶板を熱し、
料理長秘伝の味噌で味付けした肉を、
その上で焼いた。
肉が大好きな3号は、
うほうほ言いながら美味しそうに食べていた。
3号は、自分の陶板焼き用の肉がなくなると、
まだ食い足りなかったようで、
鍋用の肉に手を出し陶板で焼き始めた。
「大尉!これはこれで美味いです!」と嬉しそうに
食べていた。
あんまり美味しそうに食べるので、
ほかのみんなも鍋用の肉を焼いて食べ始めた。
本番のボタン鍋用の肉はすっかり減ってしまった。
夕食後は、9時からカラオケルームを予約していた。
それまで少し時間があったので、
わたしとハモンは天体観測ドームへ行くことにした。
他のみんなは温泉に行ったり、岩盤浴に行った。
この日はよく晴れていて、
12月の透明な夜空は、
どこまでも透けているようだった。
はるか彼方のオリオン星雲のかすみ雲さえ、
ここからはよく見えた。
カラオケは、
当たり前のようにアニソン大会になった。
残念ながら温泉地のカラオケには、
そうレパートリーが無い。
あんまり歌える歌が無い。
とハモンが文句をいいながらも、
愛おぼえていますか。を熱唱していた。
おどろいたのはマチルダさんだ。
キューティーハニーを歌ったら、
めちゃめちゃカワイイ。
お願いして魔女っこメグを歌ってもらった。
魅惑のシャランラに、
全員が酔いしれた。
部屋に戻ると、
男子部隊はすぐ寝てしまったが、
女子部隊は、
朝まで座談会。と言っていた5号が、
さっさと一番に寝てしまった事件や、
2号の寝言事件、
マチルダさんの山瀬まみのモノマネが上手い事件など、
いろいろ楽しい感じだったそうだ。
次の日もよく晴れていた。
朝はやく目が覚めてしまったわたしは、
1人で、あたりを散歩することにした。
地面には霜柱ができていた。
それをザクザクいわせて、つぶして遊んだ。
霜柱を踏みしめるのは、もう何年ぶりだろう。
思えば、大好きな自転車野宿旅にも、
永く行っていない。
生活が趣味や夢を押し流してゆく。
遠くの山の木立の隙間から朝日が昇ってきた。
それでも、こうやって気の置けない仲間と一緒に、
楽しい時間が過ごせている今のわたしは、
とても幸せである。
こんな営みがずっと続けばいいと心から思うが、
そうもいくまい。
別れもあれば、意見の対立もあるかもしれない。
突然の連邦軍の総攻撃も、
いつ始まるかも知れないのだ。
そうして、この幸せを全て失ったとしても、
わたしの事情などおかまいなしに、
やはり、こうやってあっけらかんと朝はやってくる。
なんという事だろう。
この太陽を、
恐竜だって見ていたのだ。
そう想えば、
わたしのジオン復活の望みが達成されようとも、
わたしが滅び去ろうとも、
たいして違いはないように思える。
願わくばその朝に、
今わたしが大切に想っている幸せが、
ひとつでも多く残っている事を、
祈るばかりだ。
--------------------------------------------------
本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン、
捕虜:フラウボウ2号、フラウボウ3号、フラウボウ5号、
アムロ君、マチルダさん
--------------------------------------------------
お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/
お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。
宇宙世紀008年 12月 11日 晴れ
南極条約における捕虜の扱いについて、
その取り決めは多岐にわたる、
しかも、レビル将軍に逃げられたせいで、
ジオン側にとっては、
かなり不利な条約となっている。
そのひとつに、
ジオン軍が連邦軍側の人間を捕虜にした場合、
1年に1回以上は、
慰安旅行に連れて行かねばならないというのがある。
しかたが無いので、
毎日の売上から1000円ずつ貯金して、
旅行の資金をためた。
全額とはいかなかったものの、
お小遣い程度には、みんなのぶんがたまったので、
先日、店を休んで捕虜を連れて1泊2日の旅行に出かけた。
行き先は、
マチルダさんが、
「温泉!温泉!」とうるさいので、
温泉に決まった。
具体的にいうと、
京都市内から小1時間ほどの距離にある、
「るり渓温泉」というところだ。
フラウボウ2号と5号は、
朝9時に我が国に集合し、わたしのギャロップで
9時30分に出発。
途中、マチルダさんと、フラウボウ3号を乗せた
アムロ君のバギーと
別の集合場所で合流して、
目的地に向う段取りだ。
しっかり者の2号が、
9時少し前にやってきた。
同じ頃、5号から電話がかかってきた。
「すみません。30分ほど遅れます。」
どうやら今起きたようだ。
しばらくして、
5号は、自分でも言ったように、
30分ほど遅れてやってきた。
5号は、なにか気まずい事をしでかしたとき、
目線をそらし、
伏し目がちでおろおろする。
そして、自分を助けてくれる人を探す。
その場にちょうど2号がいたので、
2号のそでにすがりついて、
遅刻をした気まずさに耐えていた。
さあ出発だ。
アムロ君との集合場所は、
高速道路の入口ちかくのコンビニの駐車場だった。
わたしのギャロップが先についたが、
アムロ君のバギーもほどなくやってきた。
そのコンビニで、車の中で食べるお菓子とジュースを
買うことにした。
5号が、
「お昼ご飯も買っていいですか?」
と聞いてきた。
こいつ、腹がへっているようだ。
「いや、残念だが昼飯は現地でとる。
お菓子でがまんせよ。」というと、
5号は、お菓子をいっぱい買っていた。
我々は一路、高速道路を北へ向った。
時刻は10時30分。
まだ朝の雰囲気の残る、
秋晴れの京都縦貫道は、よくすいていて心地よかった。
料金所を1つ越えて、千代川出口で高速道路を降りる。
ここは、丹波篠山の入口だ。
府道73号線を西へ向う。
景色はどんどん、
日本の原風景に姿を変える。
国道372号線を右折し、さらに西へ、
このあたりは視界がひらけている。
広い田んぼの中を
どこまでも続く一筋の道。
遠くその周囲を、丹波の山並みが囲む。
今年は台風がひとつも来なかった。
そのおかげで、
桜をはじめ、例年なら、この時期に落葉しているはずの木も、
紅葉に色を添え、丹波の山並は、
色とりどりの暖色におおわれていた。
青い空と紅葉のコントラストが
美しかった。
府道54号を左折し南へ向う。
とたんに道幅が狭くなり、
すれ違いも困難なほどだ。
るり渓に続く小川に、
道は平行していた。
るり渓とは、奇岩や怪石がおよそ4キロも続く渓谷である。
時折車窓から見える川の表情に、
それは表れていた。
12時前には、現地に到着した。
るり渓温泉は、
テニスコートや天体観測ドームなどの施設を備えた、
レジャーランドのような場所だ。
我々は、少し早かったが、
レストランで昼食をとる事にした。
うどんを注文すると、
洗面器のような巨大な鉢で出てきた。
かといって量が多いという訳では無い。
そして、しゃもじくらいの大きさがあるレンゲ。
5号は麺類を食べる時、
左手でレンゲを持ちながら、
麺をスープと一緒にすするのが好きらしい。
この巨大なレンゲの重さに耐えながら、
一生懸命食べていた。
しかし、となりのテーブルの子どもは
鉢に上半身をつっこんで、さらに苦労していた。
マチルダさんは笑うばかりで、
写真を撮って遊んでいた。
チェックインは2時だった。まだ時間がある。
それまで園内の施設で時間をつぶすことにする。
2時に駐車場に集合ということで、
ここでいったん解散した。
好奇心旺盛なフラウボウ3号は、
フィッシュテラピーに挑戦するといって、
足を魚につつかれに行った。
同じ年で仲のいいフラウボウ2号と5号は、
休憩室でおしゃべりに興じた。
わたしとハモン、
アムロ君とマチルダさんは、
敷地内を探検に出かけた。
駐車場脇に立っている、
敷地内の施設の案内板には、
様々な施設が紹介されていた。
中でも興味をそそられたのは、
ゼロ戦研究所だ。
「すごい。ゼロ戦だ。ゼロ戦。」わたしが興奮すると、
「研究してるだけで、飛行機は無いかもしれませんよ。」と、
アムロ君がクールにこたえた。
しかし、看板にはゼロ戦のイラストが描いてある。
「ほら、ゼロ戦の絵が描いてある。
あるんだよ、ゼロ戦が。」
なにはともあれ、
我々はそのゼロ戦研究所に向かった。
ゼロ戦とは、
大日本帝国海軍の主力艦上戦闘機で、
正式には、零式艦上戦闘機という。
第二次世界大戦初期には、外国の戦闘機を圧倒した
我が国のザクのような、すごい戦闘機だ。
今から思えば、
なんでこんな丹波の山奥でゼロ戦を研究しているのか。
そもそもなんでゼロ戦なのか。
疑問を持つべきであったのかもしれない。
ゼロ戦研究所は、
前面がガラスのサッシで中が見えるようになっている、
プレハブの小屋だった。
遠くからでも、
その中に戦闘機が展示されていることがわかった。
わたしは、はやる想いをこらえきれず、
駆け寄った。
光の反射でどうも中が見えずらい。
わたしは窓に額をこすりつけて、
ゼロ戦の雄姿をよく見ようとした。
緑色に塗られた機体。
日の丸。尾翼が錆びて欠落しているのは、
戦後の長い歳月によるものか。
しかしなにかが違う。
2人乗り?
自慢の可変式の3枚プロペラが、
なぜか2枚。
胴体がなんか丸い。
栄エンジンのスリムなシルエットが、
なぜか短くずんぐり。
ピトー管や機銃のあった穴もない。
つるつる。
このタンデム仕様のゼロ戦。
説明は、唯一スペックの書かれたプレートが傍にあるだけ。
しかも、どこを見ても、
ゼロ戦とは一言も書かれていない。
そして、
そばに「人間魚雷回天」と書かれた、
こちらはえらく複雑な形をした、
どんな歴史資料でも見たことも無い「回天」。
「機雷」と書かれた、
丸い鉄の塊がごろん。
わたしはこのときハッと気づいた。
ここは思いのほか、パラダイスだ。
なにも信じてはいけない、
誰かが勝手につくった異世界だ。
わたしたちはそう気持ちを切り替えて、
ふたたび、るり渓温泉パラダイスの調査を続行した。
ゼロ戦研究所の傍には、
カブトムシ広場がある。
それは自動車くらいの大きさの
小さなぼろぼろのビニールハウスだった。
中には、低いコナラの木が植えてあって、
枯れた雑草で覆われていた。
この地中にカブトムシの幼虫が眠っているのか。
しかし今、
ここがカブトムシ広場である面影は、
ビニールハウスの破れたビニールの繊維に絡みついた、
1本の、ぼちれたカブトムシの足が物語るのみだった。
しばらく進むと、
ポッチーという怪獣が棲むという
池に出た。
我々は、しばらくポッチーが出現するのを
息をこらして待ったが、
鏡のような池の水面には、
波風ひとつ立たず。
寒さにこらえきれなくなった我々は、
その場を後にした。
さらに行くと、
ネパール友好館という、
3階建ての木彫の塔が出現した。
説明文には、
この塔は、花と緑の博覧会で展示されたもので、
すべてネパール現地の職人が手がけ
製作されたものだと書いてある。
細部にわたり精巧な作りだ。
高さはおよそ、15メートルくらいはあるだろう。
近くでみると、その大きさとディテールに関心する。
しかし、
あのゼロ戦に、カブトムシの足に、ポッチーと続いて、
このネパール友好館なのだ。
この流れでいくと、どうもウソくさい。
さらに進むと、
「石の動物たちの広場」に出た。
そこは山の斜面を切り開いた感じで、
傾斜のきつい草木の伐採されたむき出しの土地に、
大小さまざまな石の動物が点在していた。
大きさもバラバラ、
完成度もバラバラ。
なかなかリアルでかっこいいものもあれば、
信楽焼きのタヌキのようなものまで置いてある。
楽しい。
マチルダさんに大きなライオンの石像にまたがってもらって、
ナルニア国物語ごっこなどをして、
遊んだ。
ものすごい下手な絵を立体にしたような、
パンダの石像もあったので、
今、足を魚に食われている、
パンダ好きの3号にメールで写真を送っておいた。
そうこうしているうちに、
集合時間の2時になった。
我々はチェックインを済ますと、
部屋に案内された、
部屋は、男子部隊と女子部隊で、
2つ用意してもらった。
夕食は6時。
男子部隊は、それまで温泉に入ることにした。
女子部隊は、部屋で女子話でかなり盛り上がったようだ。
るり渓温泉は、
普通の温泉とは別に、水着着用で入れる、
プールや露天風呂などの施設がある。
マチルダさんが、もう何年も水着なんて着ていないというので、
3号が気をきかせてマチルダさんの分を持ってきたようだ。
それが、えらくセクシーなものだったそうで、
もし着用してプールに現れでもしたら、
たくさんのカイ・シデンが恥のかきついでに、
近づいてきたかもしれない。
夕食はボタン鍋だった。
ボタンとはイノシシの肉のことだ。
鍋のほかにも、シシ肉の陶板焼きもあった。
コンロで陶板を熱し、
料理長秘伝の味噌で味付けした肉を、
その上で焼いた。
肉が大好きな3号は、
うほうほ言いながら美味しそうに食べていた。
3号は、自分の陶板焼き用の肉がなくなると、
まだ食い足りなかったようで、
鍋用の肉に手を出し陶板で焼き始めた。
「大尉!これはこれで美味いです!」と嬉しそうに
食べていた。
あんまり美味しそうに食べるので、
ほかのみんなも鍋用の肉を焼いて食べ始めた。
本番のボタン鍋用の肉はすっかり減ってしまった。
夕食後は、9時からカラオケルームを予約していた。
それまで少し時間があったので、
わたしとハモンは天体観測ドームへ行くことにした。
他のみんなは温泉に行ったり、岩盤浴に行った。
この日はよく晴れていて、
12月の透明な夜空は、
どこまでも透けているようだった。
はるか彼方のオリオン星雲のかすみ雲さえ、
ここからはよく見えた。
カラオケは、
当たり前のようにアニソン大会になった。
残念ながら温泉地のカラオケには、
そうレパートリーが無い。
あんまり歌える歌が無い。
とハモンが文句をいいながらも、
愛おぼえていますか。を熱唱していた。
おどろいたのはマチルダさんだ。
キューティーハニーを歌ったら、
めちゃめちゃカワイイ。
お願いして魔女っこメグを歌ってもらった。
魅惑のシャランラに、
全員が酔いしれた。
部屋に戻ると、
男子部隊はすぐ寝てしまったが、
女子部隊は、
朝まで座談会。と言っていた5号が、
さっさと一番に寝てしまった事件や、
2号の寝言事件、
マチルダさんの山瀬まみのモノマネが上手い事件など、
いろいろ楽しい感じだったそうだ。
次の日もよく晴れていた。
朝はやく目が覚めてしまったわたしは、
1人で、あたりを散歩することにした。
地面には霜柱ができていた。
それをザクザクいわせて、つぶして遊んだ。
霜柱を踏みしめるのは、もう何年ぶりだろう。
思えば、大好きな自転車野宿旅にも、
永く行っていない。
生活が趣味や夢を押し流してゆく。
遠くの山の木立の隙間から朝日が昇ってきた。
それでも、こうやって気の置けない仲間と一緒に、
楽しい時間が過ごせている今のわたしは、
とても幸せである。
こんな営みがずっと続けばいいと心から思うが、
そうもいくまい。
別れもあれば、意見の対立もあるかもしれない。
突然の連邦軍の総攻撃も、
いつ始まるかも知れないのだ。
そうして、この幸せを全て失ったとしても、
わたしの事情などおかまいなしに、
やはり、こうやってあっけらかんと朝はやってくる。
なんという事だろう。
この太陽を、
恐竜だって見ていたのだ。
そう想えば、
わたしのジオン復活の望みが達成されようとも、
わたしが滅び去ろうとも、
たいして違いはないように思える。
願わくばその朝に、
今わたしが大切に想っている幸せが、
ひとつでも多く残っている事を、
祈るばかりだ。
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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン、
捕虜:フラウボウ2号、フラウボウ3号、フラウボウ5号、
アムロ君、マチルダさん
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お好み焼き「慈恩弘国」
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