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みんな不安
ここは京都だ。
今回の大震災でも被害はおろか、
揺れすら感じなかった人がたくさんいる。
今日、近所のジャスコから、
トイレットペーパーとカップラーメンが
姿を消した。

ジャスコ洛南店

被災地へ送るためならわかる。
しかしそれとはどうもちがう気がする。

今日本はひとつになっている。
一見良い事に思えるが、
半面、実に危うい。


もう10年ほど前だろうか。
なんとなくノリで買った、
手回し発電ラジオ付きライト付きサイレン付き地震感知機能付き防水携帯充電器。
「充電たまご」
ずっとほったらかしだったが、
今はとても頼もしく見える。
もちろん。こいつ動くぞ。

充電たまご
2011/03/15 | 日々のわたくし | コメント(6) | トラックバック(0) | page top↑
全員無事

関東方面にいる元フラウボウ達の無事を確認しました。

2011/03/12 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
【衝撃屋】第7話 幻想・猫の衝撃屋(後編)
そのとき奥の扉から、ちょうどピスタチオと同じ年頃の美しい姫猫が現れました。

「騒がしいですね」
「うわぁ、ヘーゼル姫」

それはマーカンダミア王の一人娘のヘーゼル姫でした。
姫はたいへん可愛らしく、そのうえ慈悲深く、
マーカンダミアのみんなに好かれているお姫様猫でした。

「あなた方お名前は?」
「僕はピスタチオ、そしてこのおじさんは衝撃屋さん」
「はじめまして衝撃屋でございます。お目にかかれて光栄に存じます」

姫は小さく足を折って可愛らしく挨拶をすると会話を続けました。

「先程からお父様が大慌てで戦争の準備をしてますが、犬が攻めてくるって本当ですか?」

「はい。もうすぐそばまで来ています。ほら、あの西の方角の土煙がそうです。」
「まあ、大変。それでわたしたちどうすればよいのでしょう」

「僕と衝撃屋のおじさんが戦うよ」
「ええっ!?」

初耳の自分の運命に驚く衝撃屋猫。

「僕とおじさんで。このマーカンダミアと姫を守ってみせます」

ピスタチオの勇敢な言葉。愛国心に燃える瞳。

「いや、お願いですから、わたくしは、おいとまさせてくださいませんか・・・」

逃げ腰な衝撃屋猫の思いは、
愛国心に目覚めた若者と勇敢な言葉に感動した姫には届かず
ヘーゼル姫とピスタチオは見つめあい犬の軍団との戦いを決意しました。

「ピスタチオ、この国の大人たちはすっかり怠けてしまって誰も頼りにはなりません。
わたくしも戦います。ともにこのマーカンダミアを守りましょう」
「ヘーゼル姫」

固く手を取り合う二人。気乗りしない衝撃屋猫。
その時、何十年かぶりにマーカンダミア全土に緊急事態を告げるサイレンが鳴り響きました。

ウ~~~ウ~ウ~ッ、ウ~~~ウ~ウ~ッ、ウ~~~ウ~ウ~ッ・・・

しかし、このサイレンが何を意味するものなのか、
マーカンダミアの猫たちは誰もわかりません。
皆、ぽかんとスピーカーの方を眺めています。

サイレンに続き、マーカンダミア王が話しかけました。

「マーカンダミアの全ての猫のみなさん、わたしはマーカンダミアの王、マーカンダミア16世である。
原因はわかりませんが、海が突然無くなり、西の大陸から犬の大軍がこのマーカンダミアに向かっています。
このままではわたしたちは攻め滅ぼされるでしょう。
今すぐ居眠りを止めて武器をとって戦いの準備をしてください。
繰り返します。犬が攻めてきます。武器をとって戦いの準備をしてください」

この放送を聴いて、いつもぼんやりしていたマーカンダミアの猫たちはびっくりして目を丸くしました。
ある猫は逃げ場を求めて走り回り、
ある猫はその場に固まって動かなくなりました。

こんなことは初めてです。
でも確かに目の前の海は消えています。
これは本当の事なのです。
農家の猫はクワを、レストランの猫は包丁を持って、
それぞれの家に立てこもり犬の襲撃に備えました。

犬の軍団が近くまで迫っている事は、
家の中にいても、すぐにマーカンダミアの全ての猫が感じました。
犬の軍団の足音が、まるで地震のような地響きとなって聞こえてきたからです。


そしてついに戦いは始まりました。
最初に攻撃をしかけたのはマーカンダミアの猫軍でした。
西の海岸線を守っていたマーカンダミアの軍隊が、
迫って来た犬軍の第一陣に矢を射掛けたのです。

しかし、ほとんどの兵士が生まれて初めて弓矢を使った者ばかりだったので
要領がわからず全然届きません。
どうにか矢の届くところまで敵が近づいて来たと思ったら、
突然背後の森から犬の大軍に襲われました。
犬軍は、軍団をいくつかに分けて、猫軍を挟み撃ちにしたのです。

海岸線を守っていた猫軍は壊滅してしまいました。

その様子は王宮からも見えました。
見えていましたが伝令がうまく伝わらず猫軍の指揮はバラバラです。

続いて、犬軍の本隊がいよいよマーカンダミアの西海岸に上陸してきました。
先行した犬軍の幾つかの部隊は森の中などを隠れてうまく進み、
王宮からは動きがよく見えません。
街から離れたあちこちの村に火の手が上がっています。
森の中から突然襲ってくる犬の軍団に、
小さな村は、なすすべもありませんでした。

ついさっきまで王様も将軍も大臣も兵士も、みんな居眠りしていた王宮は、
いまや蜂の巣をつついたような騒ぎです。
見晴らしのよい王宮の玉座の間が猫軍の司令本部になりました。
悪化する事態を目の当たりにしながら、皆大声で軍議を凝らしています。

ある将軍が言いました。

「今朝から無風だったが昼ごろから強い東風が吹き始めた。王宮の西側のすそ野の森に火をつけて、
森ごと犬軍を焼き払いましょう」

しかしマーカンダミア王は首を縦にはふりません。
それで森の中の犬軍を焼き殺しても、国の半分が燃えてしまいます。
するとマーカンダミアの西側に住んでいる猫もみんな焼け死んでしまうからです。
そして何より西海岸に上陸した犬軍の本隊にはたいして影響が無さそうだからです。

別の将軍が言いました。

「いくら海の水が無くなっても砂漠のような砂の上では軍隊は速やかに移動できません。
犬軍の本隊が西海岸から海岸沿いの一本道を通ってマーカンダミアの街に向かって進行しています。
森の中からこの一本道をやってくる敵を攻撃して入城を食い止めましょう」

その作戦はさっそく実行されました。
王宮の猫軍本隊から出撃した一本道攻撃部隊は、
海岸の一本道が見下ろせる森の中に陣を構えました。
しかし、いつまでたっても犬軍はやってきませんでした。

これは、犬軍の罠だったのです。
猫軍がこの場所で襲ってくることは、犬軍に予想されていました。
森の中はすでに犬軍の支配下になっており、
犬軍は、一本道を通る犬軍が襲える絶好の場所を、猫軍のためにわざと空けておいたのです。
息を殺し犬軍がやってくるのを待ち伏せしている猫軍の背後の森に犬軍は火を付けました。
おりからの東風に煽られ、たちまち猫軍は森から焼け出されました。
隠れるところを失った猫軍は西からやってきた犬軍の本隊に襲われ、
これもあえなく壊滅してしまいました。

犬軍はほとんど損害を受けることなく、確実に猫の正規軍の数を削っていきました。

作戦指令本部に絶望的な空気が流れました。

ピスタチオとヘーゼル姫と衝撃屋猫は玉座の間の隅でその様子を見ていました。
ピスタチオとヘーゼル姫は、大人たちが必死に戦っているのを見て、
自分たちに出来ることはじゃまにならない事くらいだと感じたからです。

衝撃屋猫がピスタチオにちょっと得意げに言いました。

「どうです、わたくしの衝撃は。もう誰も退屈してませんねぇ」
「そうだけど、これじゃああんまりだよ、ひどいよ、これおじさんのせい?それとも僕のせい?」

「とんでもございません。わたくしどものお届けする衝撃は、
高い確率で実行される事実を、お早い目にご報告申し上げたにすぎません
その情報をどのようにご活用されるのかは、お買い求めいただいたお客様しだいでございます」

その会話を聞いていたヘーゼル姫が口を挟みました。

「ちょっと待ってピスタチオ、犬軍が攻めてくるのってこの衝撃屋さんから買った情報なの?」
「そうだよ」
「おじさん、何者なの?」
「わたくしは衝撃屋でございます。いただいたお金の額に応じた衝撃的な情報をお売りするのが、わたくしの仕事」

「おじさんちょっと来て!」
「えっ?ちょっ、ちょっと、そんなに引っ張らないでー!」
「お父様ー!お父様ー!」

ヘーゼル姫は衝撃屋猫の服の袖をひっぱって、
衝撃屋猫を大臣や将軍に囲まれている父王の所へ連れて行きました。
そして、マーカンダミア王とヘーゼル姫と衝撃屋猫の3人だけがその人だかりから抜け出し
なにやら話し始めました。

やがて王様は決心したように、
しっかりした足取りで少し高くなった玉座の壇に上り、
その場にいる臣下を見下ろしました。
大臣や将軍たちも軍議を止め王様に注目しました。

騒がしかった王宮が静寂に包まれ、
かすかに聞こえてくるのは、ここからはまだ遠くで行われている戦いの音。

そしてヘーゼル姫がマイクを持って来て父王に渡しました。
マイクは国中のスピーカーに繋がっていました。
マーカンダミア王はマイクを握ると、
目の前の臣下とマーカンダミアの全ての猫にむかって演説をはじめたのです。


「マーカンダミアの全ての猫に告げる。わたしはマーカンダミア王である。
みなさんもご存知のとおり我々は今犬の攻撃を受けている。
平和と安寧の日々の中で、爪を研ぐことを怠り続けた我々は、あまりにも脆弱であると言わざるを得ない。
我々猫が思いつくいかなる戦略も、どうやら百戦錬磨の犬軍には通用しないようだ。
ここに至っては、我がマーカンダミアの猫が全滅する事は、もはや時間の問題である。
この事実は甘んじて受け入れなければならない。
しかし、全滅が運命ならば、せめて我々猫の誇りを、大陸の犬どもに見せつけてやろうではないか」

マーカンダミア中の猫が息を殺し、
この放送に耳を傾けました。

「誇り高きマーカンダミアの猫の諸君。
すぐに王宮に集まってくれ。
たとえ負けると解っていても、最後まで力を合わせて戦おう。
王宮に集まってくれ。
大人も子供も年寄りも、みんな王宮へ集まってくれ。
我々は家族だ。誰一人欠けてはならない。
マーカンダミアの国民全員王宮に集まってくれ。
ここで最後まで力を合わせて戦おう!
勇気を出せ、爪を出せ、毛を逆立てよ!
マーカンダミアの猫の誇りを犬どもの体に刻み付けてやるのだー!
王の名において命令する、すぐに王宮に集まるのだー!」


マーカンダミア王の演説は終了しました。
マーカンダミアの猫たちにはもう、
満足な軍隊も武器も作戦もありませんでした。
猫の誇りと爪だけが残された最後の武器だったのです。

臣下たちは王様の演説に拍手を送りました。
拍手をしながら死を覚悟して泣きました。

「皆の者どうじゃ、名付けて、窮鼠猫を噛む作戦じゃ。
これからが大変じゃぞ、日ごろの運動不足を呪うがいい」

「王様だって」

大臣の一人が言いました。

「そーじゃな、そーじゃ、ははははははは」
「ははははははは」

王宮が笑い声に包まれました。
その様子をずっとぽかんと見つめていたピスタチオのところに
ヘーゼル姫がニコニコして走ってきました。

「さあピスタチオ、さっきの約束を実行してね。
一緒に戦いましょう」

「ああ」

「衝撃屋さん、あなたはどうなさいます?逃げますか?それとも犬に降参されます?」
「とんでもございません。こうなった以上ご一緒させてくださいませ」

「ふふ、ピスタチオ、衝撃屋さん、今からが大忙しよ」


この放送は犬軍も聴いていました。
この国の猫が一箇所に集まる事はかえって犬軍にとって好都合でした。
最新鋭の武装をした犬軍にとって猫の誇りや爪など、
まったく恐れるに足らないものだったからです。
犬軍はわざと進撃の速度を緩めたり、追い立てたりしながら、
猫が王宮に集まりやすくしました。

王宮に閉じ込めて降参させるもよし、
そのまま王宮ごと焼き殺してしまうもよしと考えたのです。

そして日も傾き始めた頃、
犬軍はついに王宮を取り囲みました。

犬軍の将軍が中の猫にむかって叫びました。


「降参すれば命だけは助けてやる。お前たちの王様とその家族を差し出せ」


しかし中からは何も返事がありません。
猫たちは、息を殺して犬軍が城壁を乗り越えてくるのを待ち構えているようです。
不気味な静寂があたりを支配しています。

「もう一度だけ言う、お前たちの王様と王様の家族を差し出せば、
マーカンダミアの全ての猫の命は保障する。今すぐ差し出せ。
さもなくば全員焼き殺す」

なんの返事もありません。
もしかしたら中で相談しているのかもしれません。
犬軍は30分ほど返事を待ちました。

日は沈みあたりがだんだん暗くなってきました。
夜になると、夜目が利く猫のほうが戦闘は断然有利になってしまいます。
犬軍の将軍は決断をしました。

「城門を破壊しろ、全員突撃!」

「うおおおおおおん、うおおおおおおん」

犬の軍団が大木を抱えて王宮の城門に突撃しました。

ドシーン、ドシーン、ドカーーーン!

3回目の突撃で猫の王宮の城門は破壊され、
そこから犬の軍団が一気になだれ込んできました。
犬の軍団は庭を駆け抜け、王宮に侵入し、
階下へ、階上へ、そして中庭へ、まるで激流の川のように王宮の隅々まで入り込んでいきました。

犬の軍団の将軍も、最後に悠々と王宮の庭に入ってきました。
そして王宮を見上げました。
日が落ちて赤紫色に染まった空に、王宮の塔が静かに不気味にそびえ建っていました。
将軍は、すぐに異変に気づきました。
それと同時に王宮内部に突撃していった、あちこちの隊から伝令が来ました。

「将軍、猫がどこにもいません」
「将軍、王宮には誰もいません」
「将軍、北の塔にも誰もいません」

将軍は焦りました。
「気をつけろ、隠れているのかもしれない。地下だ、地下を探せ、慎重にな」

「将軍、地下に向かった部隊から連絡です。地下にも誰もいないそうです」

「しまった罠か!全員退却、ひとまずこの場を離れろー!」

その時、塔の上に上った犬の兵士が東の方角を指差し叫びました。

「将軍、あれを見てください!」

その声を聞いて、犬の将軍は兵士の指差す方向に目を向けました。
将軍の目に飛び込んできたのは、小高い岬に立つ一本の大木でした。
よく見るとその木の枝に、猫が鈴生りにしがみついています。

「なんだありゃあ?」

そのおかしな光景を目の当たりにして、
将軍は思わずそう言うしかありませんでした。
犬軍の副官が将軍にささやきました。

「よくわかりませんが、この国中の猫があの木に登っているようですね」

マーカンダミア中の猫が登っている木は、
マーカンダミアの東の岬に立つ、あの千年猫柳の木でした。

ピスタチオもピスタチオのお母さんも妹も、金魚屋の親方も、
王様もヘーゼル姫も、もちろん衝撃屋猫も、
みんな登っていました。
そしてその高い場所から、犬の軍団をじっと見下ろしています。
将軍はわけもわからず、馬鹿にされたようで無性に腹が立ってきました。

「全員集合、目標東の大木、猫どもが木の上に逃げた。取り囲んで燃やしてしまえー!」

将軍の号令一下、犬の軍団は千年猫柳目指して突撃を開始しました。
怒り狂った犬の大軍が森の中を突き進み、ものすごい地響きです。
しかしその時、一陣の突風が吹き、犬の軍団の地響きよりももっと大きな地響きが起こりました。
音は東の地平線の彼方から聞こえてきました。

地平線の彼方に波頭が見えます。
なんと、干上がった海が帰ってきたのです。
それはまるで津波のようでした。

「戻れー戻れー!」

犬の将軍は全軍に丘の上の王宮に戻るよう命令しました。
大急ぎで丘の上の王宮へ引き返す犬の軍団。
大波はあっという間に迫ってきました。
兵士も将軍も関係ありません。
みんな自分が助かりたくて押しのけ合いながら丘を登ってゆきます。

しかし、溢れた海の水は、犬達のいる丘の斜面を一気にかけ登ってきたかと思うと、
逃げる犬達を追い越し、次々と飲み込んでいきました。

王宮までなんとか逃げ延びた者もいましたが、
大波の勢いは想像以上で、
結局、全ての犬は王宮ごと、その大波にすっぽり飲み込まれてしまいました。


千年猫柳に登っていた猫たちはというと、
ちょうど岬が船の舳先のような役割をして波を二つに分けてくれたので、
誰一人波に飲まれる者はいませんでした。

そして島中を飲み込んだ波が引きはじめると、
家や木やいろんな物と一緒に犬の軍団も流されてきました。
助けを求めて、たくさんの犬が千年猫柳の木にしがみつきましたが、
犬の爪は木を登るようにはできていません。
一匹残らず、波と一緒に沖へ流されてしまいました。

大きな波はその後何度もマーカンダミアを襲いました。
猫たちは千年猫柳の木の上で夜空を見上げて夜を過ごしました。
今日は新月。夜空には満天の星が輝いていました。


朝になりました。
街も村も家も流されてめちゃめちゃになってしまいましたが、
そんな事はおかまいなしに、マーカンダミアの空は輝いています。

昼頃になると貝の道が消えるというので、
衝撃屋猫は帰ることになりました。
今度会えるのはまた88年後です。

ピスタチオとヘーゼル姫と王様が衝撃屋猫を見送りに
あの、貝の道のついた海岸まで一緒にやってきました。
真っ青な空、すこし緑がかった青い海、まっ白な砂浜。
水平線の彼方に大きな白い入道雲。
貝の道はまだ、海岸の砂浜から沖のアーモン島のほうまで続いています。
衝撃屋猫は貝の道に乗り、振り返ると、
見送りに来てくれた3人に向かって誇らしげに言いました。

「どうです、わたくしのお売りする衝撃は、たいしたものでしょう
災難だって考えようによっては利用できるんです
名付けて、災い転じて福となす作戦でございましたね」

「それを考えたのは私よ」

ヘーゼル姫が笑いながら言いました。
そして王様も衝撃屋猫に言葉をかけました。

「しかし衝撃屋さん、おかげで少し目が覚めましたよ
これからは昼寝の時間を減らして、もう少しちゃんと過ごします」

「ふふふふ、王様のお爺様も、そんな事おっしゃってましたよ。
それでは、あ、そうそう、
ピスタチオ君、これはルビー金魚のお釣りです」

「お釣り?」

「ええ、実はあのルビー金魚は200万にゃんはする代物です。
だからこれはお釣りです」

そう言うと衝撃屋猫は背広のポケットから大きなルビーをひとつ取り出して
ピスタチオに差し出しました。

「そんなの受け取れないよ。やっぱりあれは普通の金魚だよ」

「いいえピスタチオ君、この世の中に普通のものなんて何一つないんですよ、みんな特別なんです。
君が毎日がんばってたから、わたくしは君のことをずっと見てました。
王様やヘーゼル姫やマーカンダミアのみなさんががんばったから、この国は守られた。
がんばった人は、その人のおかげで幸せになった人から、特別にご褒美がもらえるのです。
わたくしは今、とても幸せな気持ちです。だから受け取ってくださいませ」


「ありがとう、とても大きなルビーだね」

そのルビーを見て、ヘーゼル姫が言いました。

「ふふ、それはマーカンダミアの姫が結婚式の時につける宝石よ」

「えっ?じゃあこのルビーはヘーゼル姫の?」

「だって、衝撃屋さんから買った、
千年猫柳以外、マーカンダミアは全て海に沈むって衝撃。けっこう高かったのよ。
王室の宝石、いっぱい持ってかれたわ。
でもいいの。
マーカンダミアを守ることができたんですもの。
宝石はまた集めればいいのよ」


「それでは皆様さようなら、そろそろお別れの時間がやってまいりました」


衝撃屋猫がお別れをいいました。

「さようなら」
「さようなら」
「さようなら」

みんなもお別れを言いました。
そして衝撃屋猫は、貝の道を沖に向かって歩いてゆきました。
来た時と同じように、背中をまるめ、ゆっくりと。
でも不思議なことに、衝撃屋猫はゆっくり歩いているのに、
みるみる遠くなってゆきました。
そして貝の道もだんだん薄くなって、やがて衝撃屋猫といっしょに
消えてなくなりました。



「さようなら衝撃屋のおじさん」



人が猫にされてしまったのか、
猫が人になったのか、
そんな世界がございました。



おしまい。(=・ェ・=)



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★オリジナル小説「衝撃屋1~6話」よかったらどうぞ。
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  予約フォーマット
  (18:00から19:30分くらいまでの入国にご協力いただけるとたすかります)
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  入国人数:
  代表者名(偽名可):
  携帯など連絡先:
  質問、希望など:
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●2011年3月の営業日(後述の日以外は営業しておりません)
営業時間/18:00開店、22:30ラストオーダー、23:00閉店

04日(金)、05日(土)、06日(日)
11日(金)、12日(土)、13日(日)
18日(金)、19日(土)、20日(日)
25日(金)、26日(土)、27日(日)

★27日は月に一度の昼営業をします。
料理:2月の昼営業で好評だった「親子ドムぶり」のみ。
時間:朝10時~昼2時まで
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2011/03/01 | 衝撃屋 | コメント(25) | トラックバック(0) | page top↑
【衝撃屋】第7話 幻想・猫の衝撃屋(前編)
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※このお話には先の東北沖地震を連想する場面が出てきます。
作品制作時には、まさかこのような未曾有の悲劇が起こることは予想がつきませんでした。
被災者の方、お亡くなりになられたたくさんの方には
心よりお悔やみ申し上げます。
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人が猫にされてしまったのか、
猫が人になったのか、
そんな世界がございました。

07b454.jpg

二本足で歩き、言葉を話し、
帽子を被って、タバコをくわえた猫達。
なにもかも人間のそれとよく似ていたのですが、
どこか猫の性質も残っており、
大方の住人は好奇心こそ旺盛ですが、飽きっぽく、
ことさら仕事に関しては、たいしてまじめに働こうとはしませんでした。

日当たりのよい道端にテーブルを出してカードをしている猫。
手からカードをこぼしながら居眠りをしています。

魚屋から魚を盗んだ泥棒猫。
ちょうど巡回中の警察猫が一目散に泥棒猫を追いかけ逮捕しましたが、
泥棒猫が盗んだ魚を、つい一緒に食べてしまいお腹がいっぱい。
泥棒猫と警察猫は猫柳の木陰で、うとうと昼寝。
泥棒猫を縛りかけの紐はすっかりほどけてしまってます。

港の定期連絡船は出発したきり朝から戻らず、
郵便はまともに届いたためしがありませんでした。

ここはそんな猫の国、マーカンダミア。
王様から平民まで、みんな昼寝が大好きで無責任な
平和で怠惰な国でした。

この国に一人の元気な少年猫がいました。
彼の名はピスタチオ。
ピスタチオにはお父さんがいませんでした。
ピスタチオは、体の弱いお母さんの松と、学校へ上がりたい妹の銀杏ために毎日奉公していました。
奉公といっても家からどうにか通えたので住みこみではありません。
家から走って、時々歩いて1時間半ほどの、
町なかにある金魚屋さんがその奉公先です。

金魚屋さんは親方ひとりでやっていました。
親方は朝4時には起きて金魚を仕入れ、
毎朝6時に行商に出かけることになっています。
ピスタチオはその行商について行き、
口上を述べたり、金魚の桶のぶらさがった天秤を担いだりするのが仕事でした。

ピスタチオは今日も6時きっかりに親方の家にやってきました。

「親方ー、おはようございまーす」

返事がありません。
金魚の行商に行く時間なのに。
ピスタチオは親方の家に入って行き親方を探しました。

「親方ー、親方ー、どこに居なさりますー、時間ですよー」

ピスタチオは声をかけながら親方を探しました。
親方からの返事はありませんでしたが、
ピスタチオはすぐに親方を見つけました。
親方は土間の奥の座敷でスヤスヤと眠っていました。
よく見ると、仕入れの時にもってゆく手持ち鞄を枕に、
店の屋号の入った半纏を掛けふとんにして寝ています。
丸いちゃぶ台の上には日本酒の酒瓶。
そして水浸しの畳の上には、からっぽの金魚の桶が置いてありました。

どうやら呆れた事に親方は、
今朝仕入れた金魚を、ピスタチオを待っている間に、
酒の肴にして全部食べてしまったようです。

「親方ー、親方ー」

ピスタチオは親方をゆすって起こしました。

「おっ、おー、ピスタチオ、来たのか、よし出かけるか」
「親方、出かけるかじゃないですよ、売り物の金魚はどうしたんです?」
「金魚はおめぇ、ちゃんと仕入れたに決まってるじゃねえか、ほれ、あれ?」

親方はからっぽの金魚の桶を見て驚いています。

「親方。また食べちゃったのではありませんか?」
「なに言ってやがんだよ。おいらが売り物に手出すわけねーって、ごほん!」

ぽちゃん。

親方が反論しながら咳き込むと、
親方の口から金魚が一匹飛び出して桶に飛び込みました。
金魚は桶の中で元気にゆらゆらと泳いでいます。

「あれ?」

「親方、どういうことでしょう。親方の口から金魚が出てまいりましたよ。それにお酒も召していらっしゃいますね」
「いや、酒を飲んでて、ウトウトして、金魚を腹いっぱい食べる夢を見たのさ
そしたらお前が起こしてくれて、口から金魚が・・・」

「親方ーどうするんです?これじゃあ売りに行けませんよ」
「しゃーないしゃーない、今日は休み休み、お前も帰れ」

「そんなー困りますよ、こんな調子で月の半分も仕事してないじゃないですか。
僕は日当を貰わないと困るんです」
「じゃあその金魚をやる。売るなり食うなりしろ」

「そんなー、金魚一匹もらったって」
「いらねえんなら置いて帰れ、俺の昼飯だ」

「ひどいなぁ、ありがたくいただいて帰りますよー。金魚入れるのに湯呑みをひとつお借りします」
「おお、この湯呑み持ってけ、これに入れてけ」

そういうと親方は自分が酒を飲んでいた湯呑みを
ピスタチオに渡しました。

「ありがとうございます」

「その湯呑みがいけねぇんだよ、こいつがあるから酒を飲んじまうんだ。
酒を飲んじまうと金魚を食っちまうんだ。
金魚を食っちまうと商売できねぇから、また飲んじまうんだよ、その湯呑みで。
するとまた・・・とにかくその湯呑みがみんな悪いのさ」

「じゃあ、この湯呑みもいただいて帰りましょうか?」
「いや、それは返してくれ」
「はい、じゃあ明日また来ますんで」
「はいよー、お疲れー」

ピスタチオは玄関を出て帽子をとって親方に会釈をすると、
金魚の入った湯呑みを大事そうに抱えて、さっき来たばかりの家路につきました。

街の中央通りをまっすぐ南へ30分ほど歩くと港に出ました。
ピスタチオにとってそこは毎日見慣れた風景でした。
ついさっき親方の家に行く時にも目に入った風景のはずでした。
しかし今はどうでしょう。何か変です。たくさんの猫が騒いでいます。
そしてピスタチオは自分の目を疑いました。
なんと、港の水がありません。
すっかり干上がってます。
ちょっと前まで海だった地面に、船が点々と転がっています。
港で働いていた猫たちや聞きつけた猫たちは、これ幸いと干上がった海の底に降りてゆき、
逃げ遅れた魚や蟹を獲って食べていました。

その光景を見てピスタチオは、なぜかとても不安な気持ちになったので、
その仲間には入らず家に急ぐ事にしました。

港から海岸線の一本道を東へ1時間ほど行くと、
ピスタチオがお母さんと妹と住んでいる家です。

砂浜を歩き、大きな千年猫柳が生えている岬の崖の上の森を抜けると、
ピスタチオたちが住む小さな村があるのですが、
今日はその岬が、とても遠くに感じられました。
なぜなら砂浜がまるで砂漠のように広くなっていたからです。

真っ青な空。そこには雲ひとつ浮かんでいません。
そして視界の遥か彼方まで続くまっ白な砂浜。
もちろん波の音なんかしません。それどころか、夏のさなかだというのに蝉もなぜか鳴いていません。
本当にあっけらかんとした静寂の景色の中に、
ピスタチオは居ました。

ピスタチオは、いつしか足を止めて呆然と沖を眺めていました。
いつもならずっと彼方に見えるアーモン島も、
今日はまるで砂漠の彼方の幻のオアシスのように見えます。

しばらく眺めていると、アーモン島のほうで何かが光りました。
ピスタチオは目を細めて凝らします。

また光りました。
その光は、砂煙を上げて、だんだん、だんだん、ピスタチオのほうへ近づいているようです。

どどどどどどどどどど・・・

近づくにつれ、それは以外に猛烈な速さで近づいていることが解りました。
ピスタチオは怖くなって逃げようとしましたが、逃げる間もなく、
あっという間にそれはピスタチオのすぐ目の前まで来ました。

どばぁーーーん!

砂煙を上げて地面から出てきた光るもの。
それは貝でできたピカピカの道でした。
道はどうやら、沖のアーモン島まで続いているようです。

ピスタチオは驚きのあまり声も出ません。
ピスタチオはとっさに湯呑みの金魚をかばい、その場にしゃがみこんでいました。
それでも何が起こったのか確認しようと薄目を開けて、砂煙の向こうを見ました。
すると、熱砂の陽炎に揺らめきながら、貝の道を一人の猫がこっちへやってくるのが見えました。

灰色の帽子に灰色の鳥打帽。
薄いカバンをだらんと下げて、背中を丸め顔を前に突き出し、
細くやせ細った躰の雄猫。
細くつり上がった目とつり上がった口角は、
泣いているようにも見え、笑っているようにも見えました。

この猫はほんとうにアーモン島から歩いてきたのでしょうか?
島までは1里はあります。
いろんな疑問が浮かんでは消え、ピスタチオはすっかり混乱してしまい、
そこから一歩も動けません。
やがてピスタチオの目の前までやってきたその猫は、
しゃがみこんだピスタチオに手を差しのべ、
親しげに話しかけてきたのでした。

「やあ、ピスタチオ君、お会いできて光栄でございます」

「は、はじめまして、おじさんは誰ですか?僕を知ってるの?」
「失礼、はじめましてでしたね。わたくしは毎日あなたを見てましたもので、つい」

「見てたって?僕を?」
「そう、毎朝この海岸通りを街の方へ駆けてたでしょ。向こうから見てました」

「向こうってアーモン島から?」
「ほう、こっちから見るとそう見えますね。でも実際はもっと遠くからです」
「遠くって?」

「銀河とアンドロメダくらいでしょうか」
「そんなに離れてたら星だって点にしか見えないのに、
僕なんて見えるわけないよ。僕もう帰らなきゃ」

ピスタチオはなんだか怖くなって、
すぐこの場を離れなければと思いました。

「まあ、まあ、せっかくお会いできたのですから、もう少しお話ししましょうよ。
ピスタチオ君は毎朝なぜ走って街へ行くのですか?」

「えっ?おいら金魚の行商やってんだよ。朝早いんだ。おじさんは?」
「わたくしの仕事ですか?わたくしは衝撃屋でございます」
「衝撃屋?」

「はい。退屈な人に衝撃を売って、退屈を吹き飛ばして元気になってもらう仕事でございます」

「このマーカンダミアはいつも退屈だよ
大人はみんな昼寝してるし、まともに働いてるのはおいらみたいな子供か、
おいらよりちょっと上のお兄ちゃん猫くらいだよ」

「それならどうですピスタチオ君、退屈しのぎに衝撃を一つお買い求めになりませんか?」

「そうだなー買ってもいいけど、幾らくらいするの?」
「一番お安いものは50にゃんからとなっております」

「50にゃんか。面白そうだし買ってみようかな」
「おありがとうございます。88年ぶりに、はるばるマーカンダミアまで行商にやってきた甲斐がございます」

そして、ピスタチオはポケットから手持ちの全ての小銭を取り出しました。

「あれ?ごめんなさい、40にゃんしか手持ちが無いや」
「おお、それは残念。せっかくお買い求めになる気持ちになられたのに」

「しかた無いや、また今度にするよ。
それにここんとこ親方がちっともまともに仕事してくれないから
日当がもらえてないんだ。だから無駄遣いしちゃだめってことさ」

「そうかもしれませんね。ところでそのお手持ちのものは何でございますか?」
「売り物の金魚だよ」
「ちょっと見せてもらえませんか?」
「いいよ、どうぞ」

「ほー、これは珍しい」

「えっ?そう」

「いくら金魚が赤いといっても、こんなに赤い金魚は、めったにいません。
これはイトカワという星に棲んでるルビー金魚にまちがいございますまい」

「ちがうよ、これは親方がお酒を飲んだ湯呑みに入れてるから金魚が酔っぱらって赤くなったんだよ」

「いいえ、わたくしは星から星へ渡り歩く行商人ですよ。わたくしの見立てに間違いはございません。
この金魚を譲ってくれたら100万にゃん相当の衝撃を差し上げますがどうでしょう」

「100万にゃんってすごいや。どうせならお金でおくれでないかい?
お金でくれたら、病気の母さんや学校へ行きたがってる妹が喜ぶんだけど」

「残念ながらお金はたいして持っておりません。
売り物の衝撃でしかお支払いできないのです。だめでしょうか?」

「いいよ。でもその金魚。ほんとはそんな値打ちがなくっても、
おじさんが勝手に間違えたんだからね」

「おありがとうございます。それではご好意に感謝して、このマーカンダミアの全ての猫がおどろくような
とびきり上等の衝撃を差し上げます。その前に・・・」

衝撃屋猫は話を途中で止めるとピスタチオから金魚を譲り受けました。

「この金魚がイトカワのルビー金魚だと証明してみせましょう」

衝撃屋猫はそういうと湯呑みをつかんだ手を離し地面に落としてしまいました。
湯呑みは貝の道に落ちて砕け散りました。

「あっ」

ピスタチオは思わず声を出しました。
目の前の空中に湯呑みの中の水が飴のようにひとつにまとまって浮かび、
その中で金魚が泳いでいるのです。

「ご覧なさいピスタチオ君、イトカワのルビー金魚はこうやって水の中で息をしながら星から星へ渡って行くんだよ」

その空中の水の塊は、良く晴れた夏の太陽の光線でキラキラ輝きました
そしてその中の金魚は、まさに宝石の真っ赤なルビーのようでした。

「それじゃいただきます。あーん、ぱくっ」

なんとまあ。
衝撃屋猫はピスタチオが見とれている目の前で大口をあけて、
美しいルビー金魚を水ごと食べてしまいました。
ピスタチオは、またまた呆然としました。
目をつむり、おいしそうに口をモグモグさせている衝撃屋猫。
飲み込むのを惜しみ、存分に味を堪能した後、ゴクリと飲み込みました。

「はー美味しかった。
さてそれではお約束の100万にゃんの衝撃をピスタチオ君にさしあげます。
覚悟は宜しいですかな」

「覚悟が必要なの?」

「100万にゃんですからね。しかもサービスして上等のをさしあげます。よろしいですかな」
「うんいいよ。これで大人が居眠りしないよう退屈が無くなれば
マーカンダミアはもっといいとこになると思うよ」


「まいります」










「西の大陸から犬の軍団が攻めてきます。マーカンダミアの猫は全滅するでしょう」









「ええっ!そんなの嘘だよ、大陸の犬は海を渡る方法を知らないんだ。マーカンダミアに来れるわけないよ」

「おっしゃるとおり。
でも目の前の海を見てごらんなさいませ。水なんて何処にもございませんねぇ。
今年は88年に一度の、丙午の銀の年。そして今日はその8月の朔の日でございます。
88年に一度の、ものすごく潮の満ち干きが大きくなる日なのです」

「それってどういうことなの?」

「88年に一度、犬のいる大陸とマーカンダミアとの間の海が無くなる日なのです」
「大変じゃないかー、すぐ王様の所へ行かなきゃ。衝撃屋さんも来て」
「いや、わたくしはそろそろおいとまを・・・」

ピスタチオは強引に衝撃屋猫の手を引いて、
マーカンダミアの王様のところへ走りました。
王様は丘の上の王宮の中に住んでいます。
王宮といっても門番の兵士は居眠りをし、将軍は毛づくろい、
大臣は難しい事を考えてるふりをしてやっぱり寝ていました。
なのでピスタチオと衝撃屋猫はあっさり王様の前まで辿り着けました。
ピスタチオは王様にむかって叫びました。

「王様、大変です。犬が攻めてきます」

王様はふかふかの玉座に埋もれるように居眠りをしています。

「王様っ」

「うるさいっ!聞こえておる。朕は今忙しいのじゃ」
「忙しいって、居眠りしてるだけじゃないですか」
「違う!断じて違うぞ、朕は思索にふけっているのじゃ」

「そんな場合じゃないですよ王様、大陸から犬の大軍が攻めてくるんですよ」
「なにを言っておるのじゃ、犬は海を渡れん。心配無用じゃ。悪い夢を見たんなら寝直せ」

「王様、見て、ほら海が無くなっちゃったんですよ」

王宮は小高い丘の上に立っていたので見晴らしがよくなっていました。
そして、今ピスタチオ達がいる玉座の間は四方の壁が大きくガラス張りになっており、
マーカンダミアの周囲がどこまでも見渡せました。
王様は、ゆっくりと、しぶしぶ目を開けました。
そして、いつも見えてた四方の海がすっかり消えていることに気づくと
そぐにその目は大きく見開かれました。

「なんじゃー!どうしたのじゃー!う、海が消えとるではないか」
「王様、ほら西の大陸の方角。砂漠の向こうに土煙が立ってますよ。あれ、犬の軍勢じゃありませんか?」

「ほんとか?ほんとじゃ!たたたたたたた、大変じゃー、犬が攻めてきたー!
将軍!将軍!しょうぐーん!すぐに戦争の準備じゃー」

王様はあわてて叫びながら部屋を飛び出してゆきました。
王宮の広い大きな玉座の間には、ピスタチオと衝撃屋猫の二人が取り残されました。
衝撃屋猫はこの場を一刻も早く立ち去りたそうです。

「それではわたくしは、このへんでおいとまを・・・」
「おじさんちょっと待ってよ、逃げないでよ、一緒に戦ってよ」

「いや、わたくしは力もございませんし、このとおり不健康ですから、なんのお役にも立てませんよ。
このままお見逃しいただけたら助かるのですが・・・」

「そんなの無責任じゃないかー、だったら金魚返して」
「いや、それはもう食べてしまいましたし・・・」



後編につづく

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●2011年3月の営業日(後述の日以外は営業しておりません)
営業時間/18:00開店、22:30ラストオーダー、23:00閉店

04日(金)、05日(土)、06日(日)
11日(金)、12日(土)、13日(日)
18日(金)、19日(土)、20日(日)
25日(金)、26日(土)、27日(日)

★27日は月に一度の昼営業をします。
料理:2月の昼営業で好評だった「親子ドムぶり」のみ。
時間:朝10時~昼2時まで
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2011/03/01 | 衝撃屋 | コメント(9) | トラックバック(0) | page top↑
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