慈恩弘国営業日報0080909
わたしの名前はランバラル
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。

宇宙世紀008年 9月 9日 晴れ


今日は、わたしにとって特別なゲスト、
ララァさまによる貸切営業の日である。

ララァさまは、美しく、かわいらしく、セクシーでおしゃれ。
背が高くて上品で、礼節をわきまえ、清楚で可憐。
そして、若干恐ろしい。

動物で例えるなら、輝く毛並みの、美しいヒョウ。
アニメのキャラクターに例えるなら、
クイーンエメラルダスのような女性だ。

彼女から予約の電話が入ったのは、
先週のことだった。

「会社の人、8人で行きたいので、
 ご予約お願いできますか?」

か細く、美しい声、丁寧な言葉づかいである。

そして、ラビアンロースステーキと、
ザクレロのタンをご予約された。

「ラビアンロースステーキは、だいたい5000円前後、
 ザクレロのタンは2000円前後します。
 少々値がはりますが、大丈夫ですか?」

と確認すると、


「大丈夫。課長さんが払うから。」


それぞれ3つご注文された。



午後6時30分。
ララァさまご一行が揃われた。

その中には、
前回このメンバーでご来店いただいた際に、
ララァさまの悪口の書かれた、
マイ・デスノートの存在がばれ、

ララァさまに、
店の外の国道まで追い掛け回されて
グーで殴る、ヒールで蹴るの暴行を受けた、

Y氏もいた。

前回の貸切営業から数ヶ月。
元気な氏の姿が見れて、
わたしはほっとした。


ララァさまは、
いつも手土産も持ってきてくれる。
この日もかわいくて美味しい、
TAWAWAの、ふわふわロールケーキと、
ソーラレイです。と言って、
おたべの、抹茶バームクーヘンをくれた。

思えば、最初にシンデレララァプリンを持ってきて以来、
エルメスのビット。といって、
紫芋のケーキをもってきたり、
ビット放出といって、
小さいシュークリームを山ほど持ってきたり、

毎回趣向が凝っている。


わたしも、うかうかしていられない。
負けないように、
新しいメニューを考えねばなりますまい。


みなさんにビールがいきわたり、
課長さんの命令で、新人の方によって、
無理やり乾杯の発声がされたあと、

わたしは、ザクレロのタンを焼いた。
次に、ビグザムのもも肉のガーリックソテー。

ザク焼き、ドム焼き、ゲルググ焼き。

みなさん、喜んで食べてくれた。


そして、ラビアンロースステーキ。
これを焼く時は、わたしにも覚悟がいる。

これからはじまる神聖な作業のために、
鉄板を一度まっさらに磨き上げる。

バーナーの炎を調節し、
油が焦げ付かず、揮発しないぎりぎりの熱さを追及する。

やがて、鉄板がわたしに、その時を告げた。
今度は、すぐに炎を極限まで小さくする。


仰々しい竹の皮に包まれた、
いかにも高そうな肉の塊が鉄板の上に置かれると、

周囲から感嘆の声が漏れる。


「これは、お高い肉だ。」
誰かがそういった。


ラビアンロースステーキの装甲は、
1.5cmから2cmにおよぶ。
これはいつも肉屋の大将まかせで、その日の気分で変わるが、
分厚いことに変わりは無い。

熱が足りないと、
中までしっかり火が通ってしまい、
せっかくの霜降りが台無しだ。

かといって強すぎれば、
表面だけ焦げて、中が冷たいまま出さざるをえない。

そのまま焼き続ければ、
表面が炭化してしまうからだ。

肉汁を閉じ込めるためだけに表面を焼き、
中心は、赤みを残したまま油を溶かし、
旨みと甘みを開放する。

それこそが、
わたしが理想とする、
ラビアンロースステーキの在りようだ。

その最適な温度と時間を求め、
わたしは五感を研ぎ澄ます。


立ち昇る肉の焼ける芳香。
わずかに変化した牛脂の揚がる音色。
その刹那、鉄板焼きの真理の門が開いた。

見えた。今だ。
フラウボウ。皿をもて!


みんな美味しいと言って、
もりもり食べてくれた。

満足だ。



この頃になると、
みなさんすっかりお酒が入り、
楽しい感じになっていた。

よせばいいのに、
Y氏がまた赤ワインに手を出した。

Y氏は、赤ワインが好きなようだが、
すぐにへべれけになってしまう。

もちろんララァさまが
それを見逃す訳がない。

Y氏が、
前回はご迷惑をかけました。
今日はワインはこれきりで。というと、

「何やと、もっといけるやろ。」と
ララァさまがたきつける。

「じゃあ、もう一本だけ。」
そういって、赤ワインの小瓶を2、3本空けた頃、
ララァさまがふいにY氏に言った。

「誰が黒豚やって?」

「そんなん言ってませんよ。」

「化粧豚とも言うてるらしいやん。」

「誰がそんなこと言ったんですか?」

ララァさま、グーでY氏を殴る。

「ランバラルさん、聞いてくださいよ。
 こいつ、超きしょいんですよ。
 こいつ、なまっ白いでしょ。
 この前、体焼こうと自転車で桂川までいって、
 体焼いたらしいんですよ。
 そしたら、体中から黄色い汁が出てきて、
 医者に行きよったんですよ。
 頭からも汁が出てきて、
 カブトムシがよってきそうな勢いなんですよ。」

そういって、
ララァさまが携帯で無理やり撮った感じの、
Y氏の頭の写真を見せてくれた。

たしかに、
カブトムシが好きそうな感じの汁が、
頭のあちこちから出ていた。

わたしが、
「それでもYさん。
 ララァさまのような美しい方が職場にいると、
 楽しいんじゃないですか?
 うらやましい限りです。」

と言うと。

「何見てたんですか。
 超ドSですよ。
 僕なんかねぇ、毎月月末。
 たった1行記帳するためだけに、
 遠くの銀行まで使いっぱしりですよ。」

「何言うてんの。
 そのたびに200円あげてるやん。」

「ララァさまのポケットマネーですか?」

「そうですよ。」

「ララァさまは、本当にお優しいですね。
 やっぱりYさん。
 うらやましいですよ。」

「ええー?」

「でも、こいつの席、
 わたしとMの間なんですよ。
 Mとわたしが交互に内線でこいつの近くの電話ならして、
 右往左往させて楽しんでるんですけどね。」

「ねっ。ほら。
 超ドSでしょ。
 いいねん。いいねん。
 今から僕は大事な人に会うもんね。」

そういってY氏は、
真新しい携帯電話をいじりはじめた。
どうやら最近買ったお気に入りらしい。

「これにわたしの悪口、
 書いてあるんやろ。」

そう言って、
ララァさまがY氏の携帯電話をとりあげた。

「へへーん。
 それは特殊な暗号で守られているのだ。
 内部情報は見れませーん。」

Y氏がそう言うと、
ララァさまは、自分の水のコップに、
Y氏の携帯をじゃぼんとつけた。

「なにすんのー!」

Y氏が急いで携帯を救出する。
わたしはコップの水を新しいのにお取替えした。

課長さんは部下と、
ソロモン席でゲームをして盛り上がっている。

女性の営業マンが、
アバオアクー席で電話で商談をしている。
ウン千万円の商談らしい。

Y氏の携帯は、どうにか無事だったようだ。

「ランバラルさん。見たでしょ。
 超超ドSですよ。
 この席から向こうは、
 超ドSばっかりですよ。
 信じられへん。」

「なんやとー!」

ララァさまが再び携帯を取り上げて、
コップの水にじゃぼん。

「ああー!」

見かねたM氏が、

「あかんやん。なにすんの!」
そういって、コップから携帯を救い上げる。

携帯が動くのを確認して、

「大丈夫や、はい。」

そういって、M氏がコップに携帯をじゃぼんと浸けて
Y氏にコップごと返す。

「ぎゃー!信じられへん!」

Y氏があわてて携帯をコップから救いだすも、
携帯はすでに死んでいた。

「ああー、動かん、でんきがつかん。
 どうしてくれんのー。」

「わたしが悪いんとちがうで、
 とどめを刺したんはMやん。
 わたしの時は動いてたもん。」

「ドS、ドS、信じられへん。」

「バッテリーちがう?」

そうララァさまに言われてY氏はバッテリーを外し、
一生懸命バッテリーと携帯の内部を、
ご自分のシャツで拭いた。

「動かん、動かん。」

そう動揺するYさまにわたしは、

「まあまあ、Yさま、
 今はあわてて電源を入れたりすると、
 かえって壊れてしまいますよ。
 ドライヤーでゆっくり乾かして、
 明日の朝、もう一度電源を入れてみてください。
 この方法でなおった方を知っています。」

そう申し上げると、ララァさまが、

「そうそう。
 明日になったら、なおってるって。」

と言って、
なにもなかったように、
楽しそうにビールを飲み始めた。

店の中は楽しい空気で満ち溢れていた。


一人、すっかり落ち込んだY氏は、

「こうなったら、こうなったら・・・・。」と
搾り出すようにつぶやき始めた。

「こうなったら、どうやねん。」
すかさずララァさまがつっこむ。

「こうなったら、こうなったら・・・・。」

課長さんがY氏の隣に座り、
Y氏の肩に手をまわして、
Y氏の顔をのぞきこむ。

「ん?Y。お前はどうしたいんや。
 どうなりたいんや。いっぺん俺にいうてみ。」

「こうなったら、こうなったら・・・・・。」

「ん?」

「こうなったらっ!
 陰でおもいっきり悪口いうたるからなー!
 覚えとけよー!知らんどー!
 陰やから手も足もだせへんのじゃー!」



この、Y氏の堂々とした、陰口宣言で、
店は暖かい笑い声につつまれた。



--------------------------------------------------
本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ3号、フラウボウ4号
--------------------------------------------------
お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/

お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
2008/09/12 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(30) | トラックバック(0) | page top↑
コメント
いやぁ、相変わらず繁盛なさってるようですな~

しかしララァさんは凄いですね(;^_^A アセアセ…

同じニュータイプとしてアムロくんの意見を聞きたいですな。
アムロくんもドSなんでしょうか(笑)

2008/09/12 15:35 | URL | ファングいけお #mDfyvCs2 [編集] | page top↑
#ファングいけお さま

いつもありがとうございます。

我が国の捕虜のアムロ君は、
ささやかな抵抗みせますが、

結局Mですね。

あきらめたり、
翻弄されることが、
嫌いじゃないようです。
2008/09/13 09:13 | URL | ランバラル #- [編集] | page top↑
J19HmZ <a href="http://imbvaytuacnl.com/">imbvaytuacnl</a>, [url=http://nqcgicniotkn.com/]nqcgicniotkn[/url], [link=http://lusowstdhogy.com/]lusowstdhogy[/link], http://nhxysefhsmuy.com/
2011/12/07 07:18 | URL | yuzloxd #sBL4AcCc [編集] | page top↑
C7eLzf <a href="http://lcjdhtfwglud.com/">lcjdhtfwglud</a>, [url=http://gvbelzcynhox.com/]gvbelzcynhox[/url], [link=http://xsppmhavprcc.com/]xsppmhavprcc[/link], http://zibpkoqalxen.com/
2011/12/07 19:56 | URL | wnvzzacyf #- [編集] | page top↑
zmF4s4 <a href="http://wotjoyzazyum.com/">wotjoyzazyum</a>, [url=http://krjdxqxvpwih.com/]krjdxqxvpwih[/url], [link=http://tbgcnxyhpudc.com/]tbgcnxyhpudc[/link], http://togqpdkmaopw.com/
2011/12/15 20:29 | URL | cpdpujxan #gt7UJmvo [編集] | page top↑
g461SI <a href="http://julurdksjmvz.com/">julurdksjmvz</a>, [url=http://ruxaiahiztzv.com/]ruxaiahiztzv[/url], [link=http://aofsvwfemdgo.com/]aofsvwfemdgo[/link], http://kxzcubtahify.com/
2011/12/25 19:26 | URL | lqgximemux #.Af9inbg [編集] | page top↑
pNC407 <a href="http://qyzmjcocowns.com/">qyzmjcocowns</a>, [url=http://htbrfcalrfvg.com/]htbrfcalrfvg[/url], [link=http://ouiypgsrnruk.com/]ouiypgsrnruk[/link], http://vfucevlvoewj.com/
2011/12/26 05:19 | URL | jknpidkvz #geEp3hwA [編集] | page top↑
IHeQb2 <a href="http://pynaulgbknkg.com/">pynaulgbknkg</a>, [url=http://mouitrjjafsa.com/]mouitrjjafsa[/url], [link=http://wwumzjcshjwm.com/]wwumzjcshjwm[/link], http://bkrdyozxmmnc.com/
2012/01/10 05:01 | URL | tgfylzn #bXVFflwQ [編集] | page top↑
BqIXxm <a href="http://zqvkrumwpmbh.com/">zqvkrumwpmbh</a>, [url=http://jdulqmdnbkmt.com/]jdulqmdnbkmt[/url], [link=http://akmhsyncbviv.com/]akmhsyncbviv[/link], http://ejfpoxvjqlnn.com/
2012/01/10 13:26 | URL | sbnrhzsakv #N..kXMfY [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/07 10:10 | URL | oJlVRcjmBWsT #g2RIU2.I [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/07 11:42 | URL | pTPFLMytnBk #Eqp6EIX2 [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/07 15:39 | URL | vZbdMqEMHcLIALFtFYk #nt/FQBQM [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/07 19:35 | URL | IcOGlblOhJb #UvyVvHMg [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/07 21:55 | URL | igqtHbbkhzMUb #WA.Xl8Ko [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/07 23:35 | URL | WXceqoAJ #HsBojIuE [編集] | page top↑
ap.txt;5;10
2012/02/08 02:05 | URL | NXUnMiDDmfbj #qFUca.m6 [編集] | page top↑
4ACfdB <a href="http://llpgdayruvkf.com/">llpgdayruvkf</a>, [url=http://gfjtlmwdurnf.com/]gfjtlmwdurnf[/url], [link=http://umpoogzljxlt.com/]umpoogzljxlt[/link], http://zczpfhoqbnod.com/
2012/02/09 11:23 | URL | jrpkry #zQf0NnbM [編集] | page top↑
3AMalB <a href="http://bcvykulibiqv.com/">bcvykulibiqv</a>, [url=http://dctsnpmuhuar.com/]dctsnpmuhuar[/url], [link=http://rdandwvalvmp.com/]rdandwvalvmp[/link], http://dulnvgnfrcia.com/
2012/02/09 18:31 | URL | szabrc #9BKgam4U [編集] | page top↑
c,
2012/02/12 12:14 | URL | name #67tRBx.Q [編集] | page top↑
d,
2012/02/12 13:06 | URL | name #zREGAaEM [編集] | page top↑
e,
2012/02/12 14:21 | URL | name #ahjry8fo [編集] | page top↑
a,
2012/02/12 15:15 | URL | name #yGBus3Bk [編集] | page top↑
b,
2012/02/12 16:31 | URL | name #yb0YrYps [編集] | page top↑
b,
2012/02/12 17:28 | URL | name #Wd/BHB76 [編集] | page top↑
a,
2012/02/12 18:47 | URL | name #ZA5yEYXE [編集] | page top↑
f,
2012/02/12 19:47 | URL | name #KADfpnVs [編集] | page top↑
c,
2012/02/12 21:11 | URL | name #2GA7T0O. [編集] | page top↑
f,
2012/02/12 22:14 | URL | name #k01.QGYw [編集] | page top↑
d,
2012/02/12 23:40 | URL | name #SHLr..nk [編集] | page top↑
e,
2012/02/13 00:42 | URL | name #QwnY0Q3U [編集] | page top↑
コメントの投稿











管理者にだけ表示を許可する

| ホーム |