慈恩弘国営業日報0090204(わたしの打算とわたしの誤算)
わたしの名はランバラル。
数知れぬ死線をくぐり抜けてきた
ジオン公国の元軍人だ。


宇宙世紀009 2月4日晴れ


今年になって、
我がお好み焼き慈恩弘国の売上げが
安定しない。

マイミクの浩さまから、

「1月、2月の飲食は暇だよ。」

と聞いていたので、
そういうことなのかもしれない。


もともとジオン公国の復活が
わたしの目的だ。

お好み焼き屋の営業も、
その手段のひとつにすぎない。

だからといって、
手を抜いているわけでも、
どうなってもよいとは、
もちろん思っていない。

あらゆる結果も想定している。


わたしが得意としていたゲリラ戦は、
捨て鉢状態で、
闇雲に突撃する戦法ではない。

むしろ通常の突撃より、
よほど周到な準備をし、
あらゆる結果を想定し、
刻々と変わる状況に対応する能力が
求められる。

当然、我がお好み焼き慈恩弘国にも、
数々の仕掛けや工夫がされている。

そのひとつに、
マーケットセグメンテーションという戦略を導入している。

わたしがサブプライムローンを利用し、
頭金無しで奇跡的に現在の物件を購入したのは、
一昨年の3月だ。

国道沿いで、近隣商業地。
商売をするにも、
住むにも適さない物件として、
不動産屋に紹介された。

賊軍の将校にふさわしい棲家だ。

以前のこの家のオーナーは、
9年この家に住み、
4年目でお好み焼き屋に見切りをつけたそうだ。
不動産屋も、
月商10万が関の山だという。

しかしそれは、
重力にしばられた、
地球連邦のモグラどもの物差しにすぎない。

我らスペースノイドには、
もっと無限の尺度の物差しがあることを、
連中は理解していない。

あえて言おう。
カスであると。

保身と打算しか頭に無い地球人が、
地球人に対して商売をしたなら、
たしかにそんなものだろう。

しかし、
ジオン人が、
思いやりの心で満ち溢れたジオン人に対して
お好み焼きを焼いたならば、
けっしてそうはならない事を
我らは皆知っている。

まさに、
かつてジオンダイクンが提唱した、
ビジネスモデルの革新。
ニュータイプビジネスモデルの出現だ。

つまり、
あの凄惨な独立戦争から戦後30年。
世界中に離散した同胞が、
たとえ19坪の極小の国だとしても、
ジオン復活の報を聞きつけてくれれば、
必ず万難を排して、
ここを目指してくれると、
私は信じていた。
いや、確信していたのだ。


その点に関しては、
今のところ、
わたしの予想どうりとなっている。
今やほぼ日本の全県から同胞が訪れ、
海外は、アメリカ、中国、イギリスからも、
同胞がやって来てくれた。

店は毎日遠方からの同胞で溢れ、
共にジーク・ジオンを大声で唱和し、
懐古談に花を咲かせ、
皆、今度こそガンダムなんかに気を取られることなく、
ちゃんと独立しよう。と誓い合って、
店を去ってゆく。

この楽しい日々。
これこそが、わたしが思い描いていた、
お好み焼き慈恩弘国の
ニュータイプビジネスモデル。
通勤、通学、近隣の客をまったく相手にしない、
世界中のジオンの同胞だけを相手にした、

「さあ、世界の国から一見さんいらっしゃい。」作戦だ。


しかし、今年に入って、
金曜の予約が減り始めた。

続いて日曜も減り始めた。

こんな規模のお好み焼き屋で、
予約の数を気にすることはなかろう。と、
お思いの向きも多いだろうが、

遠方からの客が全ての我が国にとって、
予約が減るということは、
即、店の人気の凋落を意味している。


先日の2月1日の日曜は、
とうとう予約はゼロのまま、
営業をはじめた。

開店と同時に、
大阪から来たという同胞の男性が一人、
店に入って来てくれた。
彼は、ドム焼きといくつかのお酒を注文してくれた。
そして、小一時間ほど滞在し、
とても楽しい雰囲気の店なので、
今度は仲間の部隊とともに来ます。と言い残して、
去っていった。

結局、この日訪れた初入国のお客さんは、
この大阪からの同胞一人であった。


大阪からの同胞が出国する少し前に、
常連のラング准将がやって来ていた。

今日の労役に服してくれるフラウボウは、
2号と5号だ。

店には、わたしと、フラウボウの2人、
そして常連のラング准将の4人だけになった。

がらんとした店に流れるBGMが、
かえって静寂に聞こえる。

せっかくなので、
2号と5号とわたしは、
ラング准将はいないものと考え、
普段は手の届かない場所などの
大掃除を始めた。

「わたしがこの店で働き始めたころは、
 こんな日がよくありましたね。
 あの頃は暇で、フラウボウは一人でしたし、
 懐かしいです。」と
2号が言った。

思えば、2号が我が国に奉仕してくれるようになって、
今月でちょうど1年目になる。
この春、大学を卒業し、
もう間もなく釈放される。


2号は、我が国の建国、繁栄、そして、
衰退を見届け、去ってゆくのか。


店の電話が鳴った。
常連のガトー少佐が、
今から入国したいとの打診であった。

また電話が鳴った。
ご常連のハマーンさまとドレンさまが、
やはり、今から入国したいとのことであった。

店のドアが開き、
ご常連のルーファスさまが、
はるばる岩倉からバイクでやってきた。
岩倉は京都市内の北東の端で、
我が国は南西の端に位置している。
いつも30分以上はかけて来ているはずだ。

続いて、忍々さまがやってきた。
みなご常連だ。

ハマーンさまが、
「これ差し入れ。」と言って、
「MAXコーヒー」をいっぱいくれた。
MAXコーヒー

「MAXコーヒー」は、わたしの大好物の飲料だ。
わたしは、コーヒーの味のわからない男である。
コーヒーの美味しさは、
砂糖とミルクの量だと信じている。
その点「MAXコーヒー」は、
最高に甘く、そしてミルキーなのだ。

見渡せば、
店はご常連のお客様でにぎわっていた。
それぞれが、この店で知り合い、
今や顔見知りとなっていた。

特に、
ルーファスさまと、
忍々さまは気が合うようで、
今日は一緒にファミコンで盛り上がっている。


さっきから、
わたしの左手に時折パンチが飛んできている。
横を見ると、
2号が5号に空手の型を教えて、
2人で、わたしに戦いを挑んでいた。


「2号。
 今日は新規のお客さんは一人しか来てないし、
 いつもに比べたら売上げも悪い。
 でも、開店当初、
 おれたち2人で暇をもてあましていたあの頃と違うことが
 2つあるぞ。

 1つは、この店にご常連ができた事と、
 もう1つは、お前に仲間ができた事だ。

 こんな事、あの頃には想像できなかったな。」




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本日のクルー
店長:ランバラル大尉、オーナー:ハモン
捕虜:フラウボウ2号、5号
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お好み焼き「慈恩弘国」
http://www.ms-06zaku.com/

お好み焼き「慈恩弘国」コミュ(登録=国民)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2975500
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☆★ジオン領拡大作戦進行中☆★
ジオン領宣言シール

お好み焼き慈恩弘国店舗にてお配りしております、
この「ジオン領宣言シール」を
あなたの所有物に貼って、
ジオンの地球侵略に手を貸そう!

ただし、他人のもの、公共のものには
決して貼らないでください。
連邦軍につけいる好機をあたえ、
戦局が不利になってしまいます。

自分のできる範囲で、
できるだけ人に迷惑をかけない独立闘争こそ、
我らの理想である。

ジーク・ジオン。
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2009/02/05 | 慈恩弘国営業日報 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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